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【GOT7】七色の子守唄【Present:YOU】

Come and get it GOT7!

9月17日、前作の8thミニアルバム「Eyes On You」からは半年、フルアルバムとしては2年ぶり3枚目となる「Present:YOU」を提げてGOT7(갓세븐)がカムバしました。5月から始まった全世界の17都市を回るワールドツアー「GOT7 2018 WORLD TOUR」を成功に収めた直後でもあり、タイトル曲である『Lullaby』には韓国語、英語、中国語、スペイン語を収録し、世界中で熱狂するIGOT7(ファン/通称アガセ)に向けて、まさにプレゼントとなる1枚をリリースしました。本国でも初動から好調で、27日のMnet「M COUNTDOWN」、28日のKBS 2TV「ミュージックバンク」、29日のMBC「ショー 音楽中心」、30日のSBS「人気歌謡」で1位を受賞し、10月3日現在で早くも音楽番組4冠を達成しています。


GOT7は2014年JYPエンターテイメントからは初となるヒップホップを主体としたボーイズグループとしてデビューしました。そこにメンバーのマークジャクソンが得意とする“マーシャルアーツトリック”と呼ばれるアクロバティックな動きをミックスすることで、独自のスタイルを築いてきました(最近は危険性を考慮され、アクロバティックな動きは少なくなっています)。ベースとなるヒップホップダンスにも幼年期からB-BOYとしてスキルを磨いたリーダーのJB、ピ(Rain)のカバーダンス大会の優勝経験もあるベンベン、GOT7の振付にも携わるジニョンユギョムがおり、メインボーカルであるヨンジェを除き非常にダンススキルが高いグループとして知られていました。デビュー作の「Got it?」からヒップホップをベースに様々なジャンルのダンスを取り入れることで進化を続け、数々のヒット曲を世に放ち、今やKポップが誇る世界的なボーイズグループの一つであることに疑いの余地はありません。しかしながら、GOT7はそのダンススキルに見合うようなダンスチームとしての評価はこれまで得られていないように思います。それはなぜでしょう。


近年、Kポップのボーイズグループは楽曲もそうですが、そのダンススキルが世界的に評価されています。韓国自体がもともとダンス文化が旺盛だということもあり、スキル水準の高さが全体的な評価に繋がっていることは前提としてあります。しかし、その賞賛のほとんどはダンスの親和性、シンクロ率の高さによる一体感に向けられており、練習の積み重ねによってできたチームスキルに対するものがほとんどです。事実GOT7のライバルとして位置するBTS、NCT、SEVENTEENなどは、個々に優秀なダンサーが揃っていながらも、その観点が特に取りざたされています。GOT7は同様に個々のダンススキルは非常に高いものがありながら、ダンスの一体感という評価においては後塵を拝しているといった印象があるのは否めません。


今回のタイトル曲である『Lullaby』は子守唄という意味で、曲調はアーバンディープハウスというジャンルに定義づけられており、その振り付けにはハウスと呼ばれるダンスが多く採用されています。このハウスというジャンルは細かいフットワークが特徴的で、そのステップのバリエーションは掛け合わせることで無限に存在するとも言われています。上半身の動きが少なく、軽やかに踊るため、一見簡単そうに見えますが合わせるのが難しく、ましてやシンクロ性をもたらそうとすれば、体力的、技術的なハードルは非常に高いものになります。確固たるダンススキルがありながら、親和性に難のあるGOT7が、なぜこのハウスという難解なジャンルにトライしたのでしょうか?事実カムバのステージダンス・プラクティスの動画を見ても、一糸乱れぬパフォーマンスとは言いがたいものとなっています。


その答えはアルバム「Present:YOU」の中にあると私は考えます。本作は『Lullaby』を除き、収録曲すべての作詞作曲にメンバーが関わっており、トラックの6〜11にかけては本人たちが手がけたソロ曲が収録されています。ショートバージョンではありますが、それぞれMVまで制作されています。

 

♪6:JB “Sunrise”
大切な存在を“日の出”として表現したR&Bジャンルの曲で、軽やかな電子サウンドとJBの穏やかなファルセットがサラウンド的に調和して、夢想的な世界観を構築しています。JBは音楽制作に関わる際はDef Soulという名義で、今回も同様にクレジットされています。

 

♪7:マーク “OMW”
「OMW」は「進んでいる(on my way)」という意味で、マークはメロウなラップで「夢と成功に向けて止まらない」というメッセージを伝えています。先日マークの父親が2年後の契約満了に向けて、契約を延長しないことを示唆したこともあり、様々な憶測を呼びそうな内容とも言えます。共作者としてジャクソンも名を連ねており、MVには未収録ですがソロパートもあります。

 

♪8:ジャクソン “Made It”
若さ、情熱、自信をキーワードにした強烈なトラップトラックで全編英語詞となっています。ラッパー・ジャクソンのパワフルなライムが際立つよう、オートチューンをはじめ様々なエフェクトが掛け合わされています。

 

♪9:ジニョン”My Youth”
「無限の可能性を持っていた幼い日」を失ってしまった自分に対して「目覚めよ、あなたはまだ宇宙を駆け抜ける輝く子供だもの」と青春を取り戻すよう願っている歌です。ジニョンの甘く繊細な歌声を際立たせる落ち着いたバンドサウンドとなっています。

 

♪10:ヨンジェ “혼자(Nobody Knows)”
英題の「Nobody Knows」は「誰も知らない」という意味ですが、原題の「혼자」は「一人」という意味です。70〜80年代の間に流行した実験的な曲をヴェイパーウェイヴ的に再解釈したサウンドらしいです。明るい姿の中に隠された孤独と痛みを打ち明けるように歌い、絶叫するようなリフレインが印象的なボーカル曲になっています。ヨンジェもJBと同様楽曲制作にはArsという名義を使用しています。

 

♪11:ベンベン “Party”
タイトル曲の『Lullaby』と同様のハウスダンスの曲ですが、ベンベンのポジティブなエネルギーを反映するかのような明るい曲調となっています。ベーストラックはオールドスクールな4つ打ちですが、ジャクソンの曲と同様にオートチューンをかけることで、現代的で絶妙なミスマッチ感のある楽曲に仕上がっています。

 

♪12:ユギョム “Party”
R&Bとトラップをミックスさせたダークな雰囲気が漂う曲調です。ユギョムはポッピンやフリースタイルなど体を弾くダンスを得意としており、高音のボーカルと合わさることで独特の世界を構築しています。

これらのソロ曲のMVには『Lullaby』の世界へとつながる共通のオブジェが使用されています。


JBは


マークは


ジャクソンはアナログレコード


ジニョンはクラシックカー


ヨンジェはぬいぐるみ


ベンベンはオアシス


ユギョムはホームのベンチ

他にもモチーフは幾つかありますので、気になる方は探してみてください。

これらソロのMVは『Lullaby』に先だって公開されており、それはGOT7のひとりひとりがソロ・アーティストにも劣らない、強烈な7つの個の集合体だというアピールでもあります。

シンクロすること、揃えること、それ自体は大変な練習量を要しますし、グループ全体のスキルの平均値の高さを求められます。逆に言えばそれを完遂するためには踊りの水準をグループの平均値に設定する必要があります。ダンススキルの高いメンバーも低いメンバーに合わせなければならず、それはすなわち没個性としての表現でもあります。

GOT7はそこを逆手に取り、ハウスという難しいジャンルにトライし、ギリギリの足並みを見せることで個性を際立たせるという道を選択したのです。そこには自分たち個々をしっかりと見定めてくれれば、どのグループにも負けない魅力が伝わるはずだという自信の裏返しだと言えるでしょう。

前作の「Eyes On You」タイトル曲のLOOK』に続き「もっと!もっと!俺たちを見てくれ!」と世界中の視線を求めるGOT7。Kポップのメインストリームから逆行するその姿から、ますます目が離せそうにありません。

 

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