ALL YOU NEED IS KPOP!

【The Black Eyed Peas】盛者必衰のDOPENESS【ft.CL】

世界はK-POPに侵食されている

近年のK-POPの勢いは凄まじいものがあります。それは拡大するツアーの国々やiTunesのチャートからも見て取れますが、もう一つ明確な基準があります。それはコラボレーションです。ここで言うコラボとは、普段は別々に活動しているミュージシャンが手を組んで楽曲をリリースすることを指していますが、それが成立するにはお互いの力量や知名度、人気などが拮抗している必要があります。ヒップホップの世界ではフックアップ(売れているミュージシャンが売れていない仲間を起用し、知名度向上を助ける行為)という手法がありますが、それは目的意識が同じだったり、同じクルーに所属しているなどの限定的な条件が付きものの例外的なケースだと言えます。

記憶に新しいところだけでも、BTSニッキー・ミナージュNicki MinajRedVelvetのウェンディジョン・レジェンドJohn LedendBLACKPINKデュア・リパDua Lipaと立て続けにコラボが発生しています。現状の力関係ではK-POP勢が知名度的にはやや劣っていますが、音楽的には素晴らしい化学反応が起きており、そう遠くない未来に力関係が逆転していてもおかしくありません。最も最近では、少し規模は小さくなりますが、日本の誇るアーティスト宇多田ヒカルラッパーのEKとコラボ曲を発表しており、こちらも素晴らしい仕上がりとなっています。

そんな勢いに乗っているK-POP勢ですが、またまたすごいコラボを実現させてしまいました。というかこれまでコラボした相手の中でも大物度合いで言えば1番かも知れません。


The Black Eyed Peas(ブラック・アイド・ピーズ)

音楽史上、彼らは世界で最も成功したヒップホップ・グループと言って差し支えないでしょう。

グラミー受賞は6回、アルバム総セールスは世界で3500万枚以上、各国のプラチナ、ゴールド・アルバム獲得数は40回にものぼります。2009年にリリースした「Boom Boom Pow」はビルボード・ホット100で12週連続1位になり、翌週からは続いてリリースした「I Gotta Feeling」がトップになり、14週連続1位を記録しました。なんと1年(52週)のうち半分の26週も王座に君臨したことになります。そのほかにも多数のヒットを持ち、まさに00年代を席巻した、時代の寵児とも言えるアーティストでした。

彼らに関しては超が付くくらい有名なので説明する必要がない気もしますが、若いK-POPファンの中には名前は聞いたことあるって程度の人や、そうではなくとも、ファーギーのいたとこでしょ?ってところで記憶が止まっている人もいるかも知れません。


右から2番目がファーギー(Fergie)

それには理由がありまして、2011年7月から個人活動に専念するため無期限の活動休止に入っていたからです。

4年後の2015年7月には再結成し「Yesterday」をリリースしますが、そこに紅一点のボーカリスト・ファーギーの姿はありませんでした。2016年には彼らをスターダムに伸し上げた大ヒット曲「Where Is The Love?」のセルフリメイクで「#WHERESTHELOVE ft. The World」をリリースし、ファーギーが再び参加しましたが、その後の活動には参加しませんでした。2017年には日本のSUMMER SONIC2017に出演する等、ツアーを再開し、2018年の1月に「Street Livin’」をリリースしたことで、7年半ぶりに本格的な(K-POP用語的な意味ではない)カムバックを果たしましたが、その直後の2月にはメンバーのウィル・アイ・アム(will.i.am)が「自分たちはトリオ」であると公言し、ファーギーの脱退が確定的なものとなりました。5月には「Ring The Alarm Pt.1, Pt.2, Pt.3」、7月には「Get It」、8月末には「Constant Pt. 1 & 2」と、精力的に新曲を公開していますが、その人気は全盛期である活動休止前と比べると、はっきり言って芳しいものではなくなっています。MVの再生数も現役のトップアーティストと呼ばれる人々と比べると少々寂しいものがあります。

そして10月26日さらなる新曲「Big Love」を発表すると共に、8年ぶりとなるアルバム『Masters Of The Sun』をリリースしました。ブラック・アイド・ピーズは日本でリリースする際は「猿でもわかる〇〇」とキャッチコピーが付くぐらい、ヒップホップやファンクを大衆的にアレンジすることで爆発的な人気を博しましたが、元々(ファーギー加入前)は伝説的ヒップホップ・グループN.W.A.のEasy-Eが創設したRuthless Recordsというレーベルに所属していたゴリゴリのヒップホップ・グループでした。新曲のラインナップからもわかるように今アルバムは非常にヒップホップ濃度の濃い作品で、まさに原点回帰とも言える内容となっています。MVはありませんがTrack1には「BACK 2 HIPHOP」という曲も収録されており、一般受けはしこたま悪いが、ビーボーイからはカリスマ的な人気があるNASが参加していることも象徴的です。

そして本記事の主題でもある収録曲「DOPENESS」に、我らがBaddest Female(最も悪い女)ことCLが参加しています。言わずと知れた 元2NE1のラッパー兼リーダーです。2NE1解散後はアメリカを拠点とした活動をしてるので、他のK-POPアーティストとは若干立ち位置が異なりますが第一人者であることに変わりありません。平昌五輪の閉会式でパフォーマンスしたことは記憶に新しいことかと思います。

そのCLのソロ活動は2NE1の活動が縮小し始めていた、2013年の5月にリリースされた「나쁜 기집애(THE BADDEST FEMALE)」という曲から始まります。続いて2015年11月には代表曲でもある「HELLO BITCHES」でK-POP界のヒップホップスターから世界市場に向けて一気に舵を切ります。2016年8月の「LIFTED」では伝説的ヒップホップ・グループのウータン・クラン(Wu-Tang Clan)のメソッドマン(Method Man)のソロ曲「Method Man」をサンプリングし、ヒップホップのメインストリームに躍り出ます。MVでは共演まで果たしています。

全盛期を過ぎ、下り坂に差し掛かった感のあるThe Black Eyed Peas。世界を席巻し続け、上り坂の最中にあるK-POP。その象徴としてのCLはヒップホップという音楽を介することで、同じステージに立つことになったのです。

ただThe Black Eyed PeasとCLは以前から親交があり、これまでも度々共演を果たしています。

2011年の「MAMA」

前述の「SUMMER SONIC2017」でも共演しています。なので友人関係として、ヒップホップを愛するものとして手を組めるような立場になったというのが、フラットな見方なのかも知れません。

ただしソロになってからのCLはシングルのみを1〜2年ごとにリリースするというスパンで、あまり精力的に活動できていません。その原因は2NE1解散後も再契約を結んだYGエンターテイメントにあると見られています。CLはしばしばYGエンタ(主にヤンサ)に対する不満などをSNSで吐露しています。2018年の1月には未公開の「ALL IN」という曲の一部を自身のインスタグラムに投稿し、2017年に曲を出すと約束したファンへの贈り物だとしましたが、未だに公開やリリースに至っていません。これも世間では活動をさせてくれない事務所に対してのCLの反発行動だと見られています。


他にも太ったり痩せたり、新曲を出した可愛い後輩のジェニに噛み付いたりして抗議活動を続けています。

ウィル・アイ・アムは2月のインタビューでファーギーがいない理由を尋ねられた時、こう返答しています「俺たちには、ファーギー抜きでもやってのける実力があるって、みんなわかってるだろ。クソみたいな話をやまほどされたよ。でもみんなお節介なんだよな。前にもトリオとしてずっとやってきたし、しっかりリサーチすれば、3人のBEPがどんなものか、誰にだってわかるはず」。具体的な数字を出すと印象操作をしているみたいで少し気が引けるんですが11月5日に公開されたTrack2の「YES OR NO」のMVですが、公開から1週経っているのにも関わらず約25万再生に留まっています。The Black Eyed Peasもファーギーが抜けたことや、休止期間による人気の陰りには多少なりともショックを受けていると思います。

タイトルの「DOPENESS」とはヒップホップ用語における「かっこいい、最高」等の意で、スラング的に意訳すれば“ヤバい”ってのが最も適切かもしれません。

CLは自身のラップパートでこう歌っています。

Started from the bottom, now I’m outta here
這い上がって抜け出して 今ここにいる

Started from the bottom, now I’m outta here (Booyah!)
やっと抜け出して 今ここにいる(ざまあみろ)

I be on my hustle getting busy-busy
私は稼ぐぜ あくせくと

Tokyo to Brussels got me dizzy, dizzy
東京からブリュッセルでクラクラよ
Travel round the world like where is she, is she?
どこにいるのってくらい世界を飛び回り
Hit me on the phone, I say moshi moshi
「モシモシ」って 電話を取る
I keep the 100, never 50/50
わたしは丸々いただく 折半なんてありえない
I keep it hip-hop, never hippy, hippy
ヒップホップを貫くわ ヒッピーじゃなくね

CLは置かれた現状と、The Black Eyed Peasは自分たちに貼られたレッテルと、戦うために反撃の狼煙をあげました。ヒップホップとは本来そういう困窮から抜け出すための音楽でもあります。

そのヒップホップの深淵から聴こえるこの「DOPENESS」という曲は、私にとっては確かに“ヤバい”代物です。

最新情報をチェックしよう!