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【Yubin】個性と特性のジレンマ【#TUSM】

11月27日、 ユビン(Yubin/유빈)が2ndデジタルシングル『#TUSM』タイトル曲「Thank U Soooo Much」でソロとして2度目のカムバックを果たしました。

シティー・ポップ路線に挑戦した6月5日のソロ・デビュー・シングル『都市女子』では、盗作問題などで収録曲の「都市愛」が販売中止になったりと出だしからつまずきましたが、今回も懲りずにというか負けずにシティー・ポップで勝負です。パクらなくたっていい曲作れるんやで!というJYPの意地みたいなものを感じます。

ただ、それがユビンに求められていることなのかと言われると…少し首を傾げたくなります。

基本的にミュージシャン(に限りませんが)はデビュー曲以外は、ディスコグラフィーを持ってその作家性を語られます。要するに、これまでどのような楽曲をリリースして、ファンや世間にどう受け止められているかといったようなことで、それらは文脈や前置きとして楽曲の現在地や意味合いを示してくれます。

ユビンにとってのそれは、ケチのついたソロ・デビュー曲ではありません。ユビンがもともと所属していた大御所ガールズグループ、言わずと知れたWonder Girls(원더걸스/通称:ワンガ)です。

ユビンがワンガで披露してきた特性は

ラップ

ドラムです。

もちろんアイドル稼業を始めてから取り組んだものなので、いわゆる職業ミュージシャンのような人から見ればスキル的には不足している感は否めません。ただ、この二つの武器は、生き馬の目を抜くKポップ界でワンガという人気グループで存在感を示すために、歌も踊りもそれほど得意では無い彼女が努力の末に見出した処世術だということです。特に低音で抑揚の少ないラップは褐色の肌も相まって、ユビンのガールクラッシュな特性を最大限に引き出しています。

ワンガ出身でソロ・アーティストとして精力的に活動しているのは


女性らしさとセクシーさを共存させ、ヒットを飛ばし続けているリードボーカルだったソンミ(SUNMI/선미)


抜群の歌唱力でアーティストとしての道を突き進む、HA:TFELT(ハトフェルト)こと、メインボーカルだったイェウン(YEEUN/예은)

 

そして

ユビンと入れ替わる形でワンガを脱退した、事実上のライバルといってもいいヒョナ(HyunA/현아)


最近は元PENTAGONのイドンとイチャイチャしすぎたせいでCUBEエンターテイメントから追い出されてしまいましたが、ご存知の通りフィメール・ラッパーとしての人気や知名度はKポップ界随一といっても過言ではありません。

ワンガの解散後は事務所もばらけてしまったので、当然既存のワンガファンを取り合う図式になる訳ですが、ソロ・アーティストとしては後発のユビンは生き抜くために、未開拓であり、かつ最新のムーブメントの一つであるシティー・ポップというジャンルに挑んだのです。

ユビンは自分が築き上げてきた特性を捨ててまで…被らない道を選択しました。

ソロ・デビュー前のドキュメントではグループでは無いことや、アーティストとしてのアイデンティティについての不安を語っていましたが、自身の音楽性については言及してなかったと記憶しています。

 

今作を含め現状、ユビンがリリースしている二作はセールス、評価共に上記の3人から遅れをとっていると言わざるを得ません。

もちろん元々の人気によるところはありますが、ユビンにはJYPエンターテイメントという最も大手の事務所に所属し続けているという、他の3人には無いアドバンテージもあります。

その証拠に、と言いましょうか優秀なスタッフに支えられた楽曲そのものは良い出来だと(個人的には)思います。

タイトル曲の「Thank U Soooo Much」は、作詞はペク・アヨン(Baek A Yeon)「Shouldn’t Have」とTWICEの「KNOCK KNOCK」「YES or YES」など、多数のヒット曲を作ったシム・ウンジ(심은지)とユビンの共作で、作曲はRed Velvet「러시안 룰렛 (Russian Roulette)」などで知られるAlbi Albertssonが手がけています。ユビンは他収録曲の「Let You Go(送ってあげる/보내줄게)」で作詞、「Game Over」でも作詞・作曲を手がけています。

しかしながら、それらがいかに素晴らしい楽曲だとしても、ユビンに対して世間やファンが求めているものなのかということが結局の焦点なのだと思います。

それに関してはユビンやJYP側も理解しているようで、自身が手がけた歌詞では、恋人との別れの過程で不要な話、つまりTMI(Too Much Information)を言う相手に“本当にありがとう”とクールに別れを告げる姿を描いていおり、曲の後半では前作に見られなかったラップパートが挿入されています。ダンスにはジェンダーレスなジャンルのワックダンスやパッキングを採用していることからも、クールやワイルドと言ったガールクラッシュな要素をふんだんに盛り込んでいることがわかります。収録曲の「Game Over」の後半にも同じくラップパートが盛り込まれています。MVでは時代錯誤なサイエンス・ファンタジーな世界観が描かれており、70mmフィルムの画角と粗い画質で作られた映像の中で戦う女性を演じています。楽曲のジャンルとしては前作に続きシティー・ポップではあるんですが、JYP側としては違ったイメージを打ち出したいのか「レトロ・フューチャー」ジャンルと定義しています。

それぞれのディテールをちゃんと見極めれば、ユビン本来の特性、つまり求められている(であろう)ものにアジャストしたように思いますが、シティー・ポップというコンセプトが二作続いたことが際立ちすぎて、その変化に気づきにくい状態になっていると思います。

シティー・ポップ&ガールクラッシュというのは競合相手もいなく、ユビン自体の特性も活かされていると言った点で大正解なのは間違い無いんですが、如何せん伝わって無いような…

そもそもシティー・ポップ自体が流行っていると持て囃されていますが、大ヒット曲があるわけでも無いしミュージシャンズ・ミュージシャン(プロが評価するプロ)で止まっているような気がします。

とりあえず、次はゴリゴリのヒップホップでドラム叩きながらラップして、「ユビンって、こういう人ですよー」ってのを世間にわかりやすく再提示してみるってのは、いかかでしょ?

何よりユビンのラップが好きな私としては、それが観たい!聴きたい!BULLSHIT!

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