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【ウ・ウォンジェ(Woo)】変わらないこと、変わったこと【GIRIBOY】

Wooことウ・ウォンジェが2019年、自身の名義として1発目となるシングル「호불호(Taste)」を3月11日(月)にリリースしました。

昨年11月16日には1年ぶりとなるシングル「CASH」を、同月22日には初のEP「af」をリリースしたウ・ウォンジェ。

「af」のタイトル曲「울타리 (a fence)」

今年に入ってからは2月21日に彼が所属するレーベル・AOMGのボスであるジェイ・パークと、同じくAOMGのCode Kunstをプロデュースに迎えたLevi’sとのコラボ曲「ENGINE」に参加。そこから1ヶ月と経たない内に「호불호(Taste)」、そして3月16日には初のコンサート「Woo : What day is it today?’」が開催されました。

こちらにはジェイ・パーク、サイモン・ドミニクなども参加し、成功裏に終えたようです。

絶好調。

そう言っても決して大げさではないでしょう。

元々普通の大学生で素人ラッパーだったウ・ウォンジェが、プロ・アマ問わず参加できるSHOW ME THE MONEY6に出場した事から彼の人生は大きく変化していきます。
番組での躍進により一躍脚光を浴び、AOMGとの契約、楽曲のリリースやフィーチャリング参加、それまでとは違う歓声の中で披露するライブ、Korean Hip-hop AwardsやKorean Music Awardsなどでの受賞、New Balanceなどの大手ブランドの広告に起用など、その環境は瞬く間に変わっていきました。
彼がSHOW ME THE MONEYで注目されたのは、社会という集団の中に生きる自身の苦悩や、世間に対する怒り、自己についてなどを綴ったシリアスな歌詞と、そういった感情を一気に爆発させて吐き出すようなパフォーマンス、そして見る者の言葉や、その場の空間全ての音を奪ってしまうようなただならぬ佇まいです。

彼はこの大会で3位の座を獲得しますが、決勝前に「うつ病で不安障害、最近ではパニック障害に悩まされている」と告白しています。結果的にはそういった危うさも世間の目には魅力と映ったのか、ここから一気にスターダムへと駆け上がります。実際のところ、私もそういった部分に引き込まれて彼のファンになった訳ですが、一方でAOMGという大きなレーベルの一員になる事は、それまでの世界とは全く異なる華やかさがありながら、同時に表裏一体である様々な暗部も目にするであろうメジャーミュージックシーンに身を置く事を意味します。
いわゆる“大人の事情”や作品を作る上でのプレッシャー、常に付きまとう大衆からの視線や多くのフラッシュ、そして普通に生きていては手にする事のできない額の金。私にはそういったものが精神的な病持ちでもある彼のバランスを崩してしまうのではないかという懸念がありました。

しかし「CASH」などの歌詞を見てみると、現在の環境に戸惑いはあるものの、彼が彼の音楽をやる事で上手く折り合いをつけられているのかなという気がしていました。
それは今回の「호불호(Taste)」でより鮮明になったと思っています。

「호불호(Taste)」は「울타리 (a fence)」に続きGRAYのプロデュース。「Taste」という英題が付いていますが、原題の「호불호(ホブロ)」は「好き嫌い」という意味です。
フィーチャリングに参加しているGIRIBOYとは昨年5月にリリースされた彼のシングル「3songs」収録「후레자식(Hurejasik) 」以来2度目の共演となっております。

ミュートされたトランペットを印象的に使ったジャズベースのトラックに、ウ・ウォンジェが「オレは自分が何を好きなのかわからない。本当にわからないんだ。そのわからない事を考えるのは面倒だ」と言えば、「オレはそれが好き。オレは全てが好き」と返すGIRIBOYとの掛け合いはユーモラスで、これまでとは違ったウ・ウォンジェの世界が表現されています。
魅力の一つであったダークさは影を潜めましたが、ここにはしっかりと彼らしい視点が織り込まれ、なおかつGRAYの作るジャジーなトラックとの相性は抜群で、彼がメジャーシーンで活躍する事で抱いていた私の懸念は、どうやら要らぬものになりそうです。

クリエイティブなものを作る時、何かを犠牲にしなければ優れたものは生まれない、と言うような人もいます。確かに以前のウ・ウォンジェというアーティストは、まるで自分の身を切るようなやり方で自己を表現していました。
しかし、AOMGのメンバーや様々なアーティストと触れ合う事で、彼の中でもっと肩の力を抜いたクリエイティビティが生まれ、新たな自分を発見したように思います。

もしかしたらそれが「CASH」以降、“ウ・ウォンジェ”から“Woo”に変えた理由だったのかもしれない、という事を、これを書きながら今更ながらに思った次第です。

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