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【BewhY】ヒップホップ信徒はかく語りき【가라사대 (GOTTASADAE】

作家や芸術家、そして音楽家など、自らの内にあるものをアウトプットする表現者には個性的な面々が数多くいます。

“個性的”という言葉は、“クセが強い”と言い換える事もできますが、何かをクリエイトする者にとって、秀でた個性は強みとなり、その人の独自性を際立たせます。

Kヒップホップの世界においても、ジェイ・パークやDok2、Zion.T、Woo(ウ・ウォンジェ)など、そのバックグラウンドや性格、物の見方、考え方、そして十人十色のスタイルはとても興味深く、多くの聴衆が心を惹かれる要素の一つでもあります。

その中でもまた一風変わったスタイルの人物がいます。

BewhY(ビワイ)
イ・ビョンユン(이병윤)
1993年6月15日
大韓民国・仁川広域市 延寿
182cm/AB型
信仰:キリスト教/プロテスタント
所属事務所:Dejavu Group
所属クルー:$exy $treet
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子供の頃から音楽が好きだったというBewhYは、高校1年生の時に職業適性検査を受け、推薦職業に「プロデューサー」と出たことから音楽の道に進みたいと考えるようになります。BIGBANGやG-DRAGONが好きだったこと、そして同級生に後のJust Music所属のラッパー・C Jammがいた事もあり、ヒップホップに傾倒していきます。
2012年にはミックステープ「Be The Livest」、2014年06月23日にはシングル「Waltz」、2015年3月10日には初のアルバム「Time Travel」などをリリースしますが、彼が世間的な認知を受けたのはラップサバイバル番組「SHOW ME THE MONEY」(以下SMTM)でした。
アンダーグラウンドシーンではすでにその実力を認められていたBewhYは優勝候補としてSMTM・シーズン4に出場。しかし3次予選、続く敗者復活戦でも敗戦。優勝候補と言われながら苦渋を味わう結果となりましたが、それでも本人は悲観的になる事なく「次のシーズンへ繋がる大きなチャンスになった」とも語っています。
そしてSMTM・シーズン5への出場です。

このシーズン5では高校時代からの盟友とも言えるC Jammも出場していて、共に周囲の期待通り決勝まで駒を進めます。

その2人が相対した決勝。
BewhYは自身の1stアルバム「Time Travel」に収録された「자화상(Fake/自画像)」をAOMGのGRAYが編曲した자화상(Fake/自画像)Pt.2で見事に栄冠を勝ち取ります。

この優勝がきっかけでAOMGなど複数のレーベルから加入の声がかかりますが、彼はどこにも属する事なく、2017年に個人事務所「Dejavu Group」を設立。この事務所はBewhYのみの所属ですが、元々トラックメイキングから作詞、ミキシングなど1人で音楽制作を行ってきたこともあり、どこかのレーベルに所属するよりも、自由に作業が出来る環境を選んだという事のようです。

事務所設立に際して、同名のシングル「Dejavu」もリリースされています。

そんなBewhyの最大の特徴は、彼の代名詞とも言える高速ラップ、そしてその高速ラップでも明確に聴き取れる発音と独特な発声、曲の中で転調しても違和感なく繋がるフロウなどが挙げられます。

そしてもう一つ。

それは彼が敬虔なクリスチャン(プロテスタント)だという事です。
彼の歌詞にはその多くにキリスト教に関連するワードが使用され、先に貼った「In Trinity」は「三位一体」というキリスト教の教義から引用されたもので、歌詞の中にも「Jesus, Holy Spirit, God」という言葉が出てきたり、他のアーティストにフィーチャリングする時も、その信仰を隠すことはありません。
そんな彼を評してCCM(Contemporary Christian Music)ラッパーと呼ぶ人がおり、宗教色の強い音楽性に嫌悪感を示す人が一定数いるのも確かなようですが、それでも彼はそういった抵抗感を減らすためにサウンドに注力するなど、より広い層に受け入れやすいような努力も怠らず、「無神論者だが、教会に行きたくなる」という声が上がるほど、多くの関心を集めました。
そうした彼のスタイルは、SMTMでも披露した「Foever」で2017年のKOREAN MUSIC AWARDの「最優秀ラップ&ヒップホップ賞」を、同年に設立されたKOREAN HipHop AWARDにおいても「最優秀ヒップホップトラック賞」を授賞するなど、信仰の有る無しを超えて、広く支持されている事がわかります。

以降のBewhYは、当時の大日本帝国からの独立運動である「三・一運動」100周年記念公式ソングへの抜擢や全米ツアーを開催し、2017年9月17日にリリースされたアルバム「The Blind Star」では、これまでの音楽制作スタイルとは異なり、全曲にGRAYやBoycoldといった外部の作曲者を迎えるなど、変化を加えています。

そのBewhYが「The Blind Star」以来2年ぶりとなる全12曲収録のアルバム「The Movie Star」を7月25日にリリースしました。

このアルバムにはCrushやVerbal Jint、C Jammに加え、LOCOやPrimary、Dok2達との共演や、BTS、Red Velvetにも楽曲提供をしているシンガーソングライター・SUMINなどが参加しています。

タイトル曲である「가라사대(GOTTASADAE/カラサデ)」は「いわく」という意味で、このアルバムに関してBewhYは「自分のアイデンティティを表現した」と語っています。
MVは

For the kingdom of God is not a matter of talk but of power.
(神の国はことばにはなく、力にある)

新約聖書:コリント人への第一の手紙 4章20節より

という言葉で始まり、「BewhYいわく〜」という言葉で彼の考えが綴られていきます。映像では口枷をはめたBewhY、畜舎に押し込められ、もがくように踊る人々、鉄格子の中で監視されたBewhY、そして一頭の馬が出てきます。

「For the kingdom of God is not a matter of talk but of power.(神の国はことばにはなく、力にある)」の“力”とは、実力の世界を言うのではなく、“救いの力”であり、信仰を言葉の上だけで理解する事なく、自らが行動し、正しく生きなさいという意味を持った言葉のようです。そして馬は高貴さや自由の象徴と言われています。

かつてBewhYは、教会を訪れた際に牧師から「ヒップホップは悪だからやめなさい」と言われ事に対し「牧師さん、何を言っているんですか。これは神が作ったんです」と答えたそうです。彼にとってキリスト教とヒップホップは同列にある信仰対象である事がわかるエピソードだと思います。

彼は自らの中にある“神”を軸としながら、ヒップホップという“力”を持って行動し、我々に対しどう生きるべきかを自ら考えよと語りかけているのかもしれません。

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