2019年8月8日にWeki Meki(ウィキミキ/위키미키)が、2ndシングル『LOCK END LOL』のリパッケージアルバムである『WEEK END LOL』をリリースしました!
今回はWeki Meki初となるリパケで、タイトル曲の「Tiki-Taka(99%)」のみを追加した4曲入りです。一般的にリパケは前作が好評だった時に、更なる売り上げを目論んで制作されるものですが『LOCK END LOL』に関しては、特別に好評だったというわけではありません。理由はその発売日にあります。
2017年8月8日がWeki Mekiのデビュー日であり、つまりは2周年記念としてリリースされたというわけです。ちなみにMVが公開されたのは遅れること一週間後の14日です。
デビューミニアルバム『WEME』のグループティザー
まずはKi-Ling(ファンダム)、おめでとう!
Weki Mekiといえば、最近でも話題の中心であるMnetのスーパーサバイバル番組「PRODUCE」シリーズのシーズン1にあたる「PRODUCE101」出身のグループというイメージがあるかと思います。ちなみにグループ内での番組参加者はエリー、ユジョン、ドヨン、セイの4名です。
その番組から誕生し、ユジョンとドヨンも参加した期間限定のグループI.O.Iは解散後の今も根強い人気があり、7月1日にはヨンジョン(宇宙少女)、ソミを除く9人体制での復活が正式に発表されました。
2年以上も前のグループでありながら、なぜこんなにも人気が健在なのかというところですが、約9ヶ月という活動期間の短さが主な要因とはいえ、爆発的な人気を博したI.O.Iに比べ、その後に派生したグループの活躍がそこまで目覚ましいいものではないということが挙げられます。
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チョンハ | ソヘ | ヨンジョン | ソミ |
総合的に見れば、新世代のソロ・アーティストとしての威厳が出てきたチョンハ、女優・タレントとして活動の幅を広げているキム・ソヘ、そして先に挙げた今回の活動には参加しないヨンジョン、ソミは十分に活躍している、もしくはこれからの活躍が期待できると言えるでしょう。
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セジョン | ミナ | チェヨン | ナヨン | キョルギョン |
しかしながら、個人活動が目立ち、グループとしての活動が少ないgugudanのセジョンとミナ、メンバーの離脱が多いDIAのチェヨン、そして先日解散を発表してしまったPRISTINのナヨンとキョルギョンと、明暗がくっきりしています。
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ユジョン | ドヨン |
ユジョンとドヨンがいるWeki Mekiは、ちょうどその間ぐらいに位置しています。グループとしての活動はしっかりできていますが、大人気というほどでもなく、まさに宙ぶらりんな感じです。I.O.Iファンからすると、このWeki Mekiを筆頭とした、イマイチ波に乗れていない方のグループになんとか日の目を見せてあげたい、という心理が現在の根強い人気につながっているんではないかと思います。これはまぁもっともらしく語っていますが、I.O.Iファン並びにKi-Lingである自分の自己分析でもあります。
なので、Weki Mekiがリリースをする度に売れてほしいと願い、応援する気持ちはありつつも、今回のタイトル曲やアルバムはWeki Mekiが売れるために正しいアプローチなのか?ということを考えてしまうわけです。
“スクール・クラッシュ”という新たなコンセプトに挑戦した前作『LOCK END LOL』を学校に通う“平日”として、本アルバムは対になる“週末”として『WEEK END LOL』というタイトルになりました。
なのでタイトルから予測するとスクール・クラッシュ・ガールズの一週間を描くのかと思いきや、何故か夏休みが舞台となった“サマー・クラッシュ”が今回のコンセプトとなりました。実はWeki Mekiは“ティーン・クラッシュ”の集大成としての“スクール・クラッシュ”だとか、毎度うまいこと言ってる風で「ん?なんで?」みたいなちょっとしたコンセプトの緩さがあります。所詮ディテールなんで、それが足かせになっているとは思えませんが、もうちょっと気を使ってほしいなとは毎度思ってしまいます。
タイトル曲「Tiki-Taka(99%)」の“ティキタカ”というのは、Kポップファンにお馴染みだとは思えませんがサッカー用語です。
サッカー強豪国であるスペイン代表を94年のW杯で率いていたハビエル・クレメンテが志向していた戦術スタイルで、それを実況していたアンドレス・モンテスが短いパスがテンポよく繋がる様子をスペイン語の擬音語である“Tiki-Taka”と表現したのが始まりと言われています。
近年ではジョゼップ・グアルディオラ(通称:ペップ)が率いていたFCバルセロナ(2008-2012)が、その代名詞と言われており、そのスタイルが当時のサッカー界を席巻したことも含めてサッカー通の間では非常に有名な言葉です。
余談としてペップは自身のスタイルを“ティキタカ”と表現されるのを嫌っており「ゴールに結びつかないパスになんの意味もない」と断言しています。
またサッカーでは試合の分析として“支配率”という「どちらがどれだけボールを保持していたか」というデータが重視されるのですが、通常であれば五分五分、力の差があるチーム同士でも6:4、多くても7:3というのが普通でした。しかし“ティキタカ”を使用していた当時のFCバルセロナの支配率は80%を超えるのはしょっちゅうで、90%近く、つまりはほとんどをバルセロナ側がボールを保持している試合なんてのも珍しくありませんでした。サブタイトルの(99%)は、そんなところからも来ているものと思われます。
ちなみに“ティキタカ”という言葉自体はBlock BのZICO(ジコ/지코)など、ヒップホップ系のアーティストが歌詞などで多く採用しており、本国の人には耳馴染みのある言葉だとネイティブの人が教えてくれました。奇しくも彼は日本代表の監督も務めていたサッカーの神様と言われるZICO(ジーコ)と同じ名前です。
歌詞の内容としては「99%惹かれているのに、あなたが最後の一押しをしてくれないから、残りの1%が埋まらない」的なことを言っており、恋する乙女のいじらしい気持ちを歌っています。それがなんでプールサイドやサマーパーティの絵面なんだ、というのは007風のオープニングやエンディングからして謎だらけですが、それが前述の通りの詰めの甘いWeki Mekiクオリティでございます。
一方で、清涼感のあるサウンドと99を意味する“ハンズポイントダンス”など、サビの盛り上がりも含めて、楽曲としては素直に「めっちゃいいじゃん!」と言える部分もあり、夏に弾ける平均年齢20.6歳のビジュアルも最高です。
サッカーの方のティキタカは当初、革新的だったことも含めて絶賛され、そのスタイルを真似するチームが続出しました。しかしながらその圧倒的な強さが長期政権を築くと、ただ短いパスを回し、変わりばえのないシーンが90分続くFCバルセロナのサッカーを判官贔屓も含めて「退屈」だと揶揄する否定的な意見が多く見られるようになりました。現在では対策戦術の方も進化したこともあり、ドリブルやロングパスなどの要素を含んだ“発展型のティキタカ”をペップが現在率いるマンチェスター・シティFCが採用しています。
しかしながら、この戦術は非常に複雑で表現する個々の選手にもハイレベルなものが求められるため、容易に真似できないものとなっています。マンチェスター・シティFCは所属するイングランドのプレミアリーグで現在2連覇中と、バルセロナ時代再びと言えるような黄金期を迎えていますが、その強さは追随を許していません。
ペップが従来のティキタカに加えたものは、シンプルに言えばダイナミズムと変化です。一定のリズムでパスを回し続けることで見つけやすかったボールの奪いどころを曖昧にすることで、ゴール前を固める敵の守備陣にいくつものほころびを生むことに成功したのです。
そして生まれたのが爆発的な得点力です。事実今シーズンのプレミアリーグ開幕戦のウエスト・ハムにも5-0と圧勝しています。
大人過ぎず、子供過ぎない。すごく良いけど、何かが足りない。I.O.Iという強烈なバックアップがあったけど、イマイチ人気が出てこない。だけどもやっぱり応援したいファンがいる。
そんなWeki Mekiに欠けているのもやはり決定力です。“発展型のティキタカ”のように爆発的な何かがあれば、I.O.Iの頃のような無敵の人気を再び得るはずです。
まぁ、このドヨンの爆発的なピース&ウインクを観て、ハートにゴールが決まらない人いるとは思えませんけどね。
サッカーとWeki Meki大して関係なくね?って思うかもしれませんが、それで押し切っちゃうのがWeki Mekiクオリティってもんです。