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【DAY6】スウィングしてクラッシュ【Sweet Chaos】

まさか。まさかKポップを聴き始めて、再びこのジャンルに出会うとは…。

少し前から思っていた事だけれど、もはや「Kポップ」って、「ポップ」じゃないよな。悪い意味ではなく、そこに留まらないよなってことだけど。

あ、すいません。独りごちてしまいました。

何の事かと言いますと、10月22日に3rdフルアルバム「The Book of Us:Entropy」でカムバしたDAY6のタイトル曲「Sweet Chaos」の事です。

この曲、これまで私がKポップでは出会ったことのなかったロカビリーテイストなのです。

私はKポップにハマる以前、欧米のロック/パンク畑にいたのですが、その中にあったジャンルの1つがロカビリーでした。

もしかしたら「ロカビリーって何?」という人もいるかもしれませんのでザッと説明すると、1950年代初頭にアメリカで生まれたブルース、カントリー、ブルーグラスといったジャンルを融合させて出来た音楽の事で、一番の有名どころはエルビス・プレスリーでしょう。
とはいえ、私にとってのロカビリーは70年代末から流行したネオロカと言われるもので、その代表格がトリオバンド・Stray Catsです。

どうでしょう。通ずるものがありませんか?
特徴としては、例えば4拍子の拍を「(1)、2、(3)、4」と裏(2と4)でとる感じです。で、揺れる。体を左右に動かして、後から頭がついていく感じ。これがスウィングです。そう、「Sweet Chaos」は見事にスウィングしているのです。

DAY6は初期のエモコアから前々回の「days gone by」ではニューウェーブ、前回の「Time of Our Life(한 페이지가 될 수 있게)」では日本の90年代初頭に流行ったビートパンク的なポップなロックときて、今回はロカビリー。オーバーグラウンドにいるKポップではもしかしたら初めての試みではないでしょうか。

ただし今回のアルバム、驚いたのはそれだけではありませんでした。

「The Book of Us:Entropy」の「The Book of Us」は前作のタイトル「The Book of Us : Gravity」を継ぐものである事がわかります。
では「Entropy」とは何でしょう。

①系の乱雑さ・無秩序さ・不規則さの度合を表す量で,物質や熱の出入りのない系ではエントロピーは減少せず,不可逆変化をするときには,常に増大する。一九世紀中頃,ドイツの物理学者クラウジウスが熱力学的量の一つとして導入した。
②情報理論で,情報の不確かさの度合を表す量。

weblio辞書より

はい、なんのこっちゃさっぱり分かりませんが、ものすごく簡単に言えば「この世で起きた現象の全ては、不可逆的である」という事の“度合い”らしいです。
例えば高さのある所から物を落とした場合、その落ちた物は勝手に上に上がっていきませんよね。その不可逆過程の起こりやすさ(或いは起こりにくさ)を具体的な数値として表したのがEntropyですって。

そのEntropyがアルバムでどう表現されているのかと言うと、TRACK1からTRACK6までは恋人同士の愛が深まる段階を、TRACK7から最後のTRACK11まではその2人の関係が冷えていく過程で起こる感情の二面性を示したそうです。
つまり「一度冷めた愛は、元には戻らない」というなかなかシビアな愛を描いたアルバムになっています。

しかし重要なのはそれぞれの楽曲で披露されているジャンルです。今回彼らが披露したのは、80年代のLAメタル、ディスコ、ラテンポップ、ボサノバ、レゲエ、そしてロカビリー。

このジャンルの構成、まるで三大パンクバンドの一つ、THE CLASHのようです。

彼らの名前は知らなくとも、この曲は車のCMなどで聴いた事があるのではないでしょうか。
厳密に言えばこの曲、カバーなのですが、それはいいとして、1977年にデビューした彼らは初期こそストレートなパンクロックをやっていましたが、最も有名な3枚目となるアルバム「LONDON CALLING」ではロックやロカビリーだけでなく、レゲエやスカ、ロックステディ、R&Bというブラックミュージックをふんだんに取り入れていきます。

これは当時白人がやる音楽としては大変珍しいものでした。後にはディスコミュージックや実験音楽まで、パンクという枠に収まらない多彩なジャンルを披露し、元祖ミクスチャーなどと呼ばれる事もあるバンドです。

その「THE CLASH/LONDON CALLING」と照らし合わせてみると、特にラテン系の音楽を多く取り入れているという点に類似性があるように思います。DAY6がTHE CLASHを意識したかどうか分かりませんが、彼らは先にも書いたように三大パンクバンドの一つに挙げられ、ロックの殿堂入りも果たしている偉大なバンドでもあります。そのレジェンドと肩を並べられるかどうかは別として、個人的には今回のアプローチにとてもグッときてしまったのです。

そんなDAY6は、前回のカムバ記事でも書いたように、8月から始まった「DAY6 WORLD TOUR ‘GRAVITY’」の真っ最中。そして7月24日に出演したSHOW CHAMPIONではついに初の音楽番組1位を獲得。

今回の「The Book Of Us : Entropy」発売記念ショーケースで、ボーカルのソンジンは「ランキングよりはこの曲を通じて誰かにとって少しでも役に立つことができれば、それだけでも僕たちは大きな目標を達成したと思います」と語りました。相変わらず感じの良いやつです。

彼の言葉に答えるならば、懐かしかったし、単純に嬉しかったよ。

ただね。

「The Book Of Us : Entropy」、現時点(10月24日現在)でまだApple Musicから配信されていないんですよ…。Album Samplerでしか聴けていないんですよ…。散々色々語ってきてなんですが。いや、まぁそれだけ聴いてもその試みは十分伝わったから書いた訳なんですが、とりあえず早いところ配信をお願いします。

※Apple Musicで配信されたので、追加しました。

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