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【THE BOYZ】JAPAN 1stアルバムで刻んだもの【TATTOO】

kakaoMの傘下である芸能事務所・Cre.ker Entertainment(クラッカー・エンターテインメント)に所属するボーイズグループ・THE BOYZが、11月6日にJAPAN 1stアルバムとなる「TATTOO」をリリースした。

THE BOYZはデビュー前から「Cre.kerz(クラッカーズ)」という名称で、動画サイトにメンバーの紹介映像をアップしており、そのビジュアル偏差値の高さから話題を集めていた。

2017年12月6日に1stミニアルバム「THE FIRST」でデビュー以降は、2018年度のAsia Artist AwardsやMelon Music Awardsなどで新人賞を含む計8つの賞を受賞し、一躍スター候補として注目を集めることとなる。

2018年11月29日にリリースされた3rdミニアルバム「THE ONLY」のタイトル曲「No Air」では、それまでの少年らしいハツラツとした姿から、グッと大人っぽく成熟した、新たなるグループの魅力を大衆へと示すことに成功した。

2019年に入ってからは、5月にリリースされた2ndシングル「Bloom Bloom」で初の音楽番組での1位を獲得し、続く4thミニアルバム「DREAMLIKE」のタイトル曲「D.D.D」では、アメリカやイギリス、カナダなど海外7ヶ国のiTunes K-POPアルバムチャートで1位を獲得。ビルボードでも「自らの仕事を楽しみながら成長するグループ」と紹介されるなど、韓国国内外でも注目を集める存在となった。

そんなTHE BOYZがデビューから2年を経て、ついにJAPAN 1stアルバムをリリースしたのだ。

しかしその前に、メンバーのファルに関して触れなければならないだろう。

10月23日、グループのマンネラインであるファルの脱退が発表された。「健康上の理由によるもの」という事だが、ファルは昨年の3月末に「後脛骨筋腱機能不全」(足の土踏まずを形成するために重要な後脛骨筋腱の炎症や断裂により、足痛や足の機能障害を引き起こす病態)と診断され、手術を行った後、長期間の活動休止を余儀なくされた。同年の9月にリリースされた1stシングル「THE SPHERE」では復帰したものの、今年の8月には再び「足首の痛みとコンディション不調」を訴え、2度目の活動休止に入っていた。

結局は足の状態が回復せずに脱退へと至ったものと予想されるが、特に激しいダンスパフォーマンスを行うKポップアイドルにとって怪我は付きものとはいえ、出身地である釜山訛りで話し、ダンサーでありながらもボーカル・ラップパートもこなし、独特なファッションセンスでも人気を博していたファルの脱退は、THE B(ファンダム)にとってもKポップファンにとっても残念な知らせだったはずだ。

そのファル脱退後、11人体制となって初の活動がJAPAN 1stアルバム「TATTOO」になる訳だが、収録された6曲は全て完全オリジナル曲となっている。通常、日本における最初のリリースでは、既存曲の日本語バージョンを含むのが一般的だが、今回はそれが一切ないという珍しい構成だ。

しかし最も注目すべきは他にある。それはタイトル曲の「TATTOO」を含め、TRACK4の「Stupid Sorry」以外が全て韓国語(英語歌詞を含む)で歌われているという事だ。
筆者の知る限り、こういったケースは初めてではないかと思う。先にも挙げたように、Kポップアイドルが日本で音源をリリースする場合、通念のように「日本語歌詞で歌われるのが当たり前」だったはずだ。それは日本というマーケットにおいて、Kポップアイドルが新たな支持層を獲得する為に、より親しみやすく、身近に感じる事の出来る手段として必要なものであり、長らくのあいだ慣例とされてきた。

けれども、ここ2年ほどの間に起こった第三次韓流ブームにより、日本市場を狙うアイドルグループの競い合いは更に激化している。パイの限られているその中で、いかにグループの個性を打ち出し、他の競合から抜け出すのかというのが、各所属事務所の最重要課題だったはずだ。

そういった中で、THE BOYZの所属するCre.ker Entertainmentは、タイトル曲を「全編韓国語歌詞」にする事を選んだ。

Kポップアイドルが歌う日本語バージョンは売れる。それが人気グループであれば尚更だ。一方で、それが不満だと思う層がいる事も確かだろう。事実として、SNSでは「日本語曲は必要か不必要か」といった話題が交わされることも少なくなく、私が見た限りでは、控えめに言っても「せめてコンサートではオリジナルバージョンを中心に歌って欲しい」という声が散見された。

とは言え、既存の曲の日本語バージョンには制作サイドとしてコスト面でのメリットがあり、日本語オリジナル曲では「日本のファンに向けた日本だけの曲」というファン心理から、確実に一定数の販売量が見込めるというメリットがある。
しかしそれは、日本語曲を許容する既存のファン以外となる別の支持層を獲得するには不十分だったのかもしれない。そう考えると、今回の「TATTOO」は非常に意欲的で、画期的な試みだったように思う。一方で、この挑戦は大手ではないCre.ker Entertainmentという中小事務所だったからこそ実現したという事も考えられるだろう。これまでのフォーマットに即した展開とは異なる選択は、中小事務所として失敗出来ない状況だからこそ生まれた一手だったのではないだろうか。

「Kポップアイドルが日本でリリースする音源=日本語詞」という図式が一般化している現在において、果たしてこの試みは成功するのかというところではあるが、11月18日付けの「オリコン週間アルバムランキング」及び「Billboard JAPAN Top Albums Sales」では共に2位を獲得、MVのYouTube再生回数も公開から1週間で600万回再生(オフィシャル・1theK合算)突破と絶好調で、現段階では十分に結果を出していると言って差し支えないだろう。

今回の「TATTOO」は、今後のKポップアイドルの日本リリースにおいて、新たな道筋となる指標を刻み込んだはずだ。


…と、動画なし、スクショなし、SNSの記事貼り付けもなしで、レビューサイトのコラムのごとく「全編活字のみ」という新たな試みに挑んでみましたが、どうにもこのブログにおいては見た目が寂しいですね。

という事で、やっぱりMVをどうぞ。

ブログの良いところって、文字情報だけでなく、こういったMVや写真も同時に楽しめるところですからね。

しかし今回の「TATTOO」、本当に面白い挑戦だと思います。日本ではまだまだ意識的に壁のある“タトゥー”をタイトルにしたのも、ダブルミーニングとして良い意味で挑発的だなと。
12月4日からは、3週に渡ってテレビ朝日系の全国放送「BREAK OUT」内のマンスリーコーナー「FREAK SCENE」にTHE BOYZが出演し、今回のアルバムの中から「TATTOO」と「Stupid Sorry」を披露する予定という事ですし、TWICEが間もなく発売する「&TWICE」収録曲の「What You Waiting For」も全編英語詞っぽいので、これからは日本におけるKポップにも新たな潮流が生まれるかもしれません。

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