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【Red Velvet】生と死のパレード【Psycho】

12月23日(月)、Red Velvetが6月から続いた「The ReVe Festival シリーズ」の最終章となる「The ReVe Festival Finale」でカムバしました。

【Red Velvet】Don’t think, feel.【Zimzalabim】

【Red Velvet】夏だ祭りだウンパッパ【Umpah Umpah】

タイトル曲である「Psycho」の作詞にはもはや説明不要・Kenzie、作曲にはカナダのシンガーソングライター(だと思われる)Andrew Scottに、「Power Up」にも携わったCazzi Opeia、ドラマOSTなどに参加しているEJAEです。

アルバムは 「The ReVe Festival Day1」「The ReVe Festival Day2」に「Psycho」などの新曲4曲を含めたリパケになっていますが、Track1〜3,16が新曲Track4〜9が「Day2の曲順を逆にしたもの、Track10〜15が「Day1」の曲順を逆にしたものとなっています。

01. Psycho 09. 음파음파 (Umpah Umpah)
02. In & Out 10. LP
03. Remember Forever 11. 안녕, 여름 (Parade)
04. 눈 맞추고, 손 맞대고 (Eyes Locked, Hands Locked) 12. 친구가 아냐 (Bing Bing)
05. Ladies Night 13. Milkshake
06. Jumpin’ 14. Sunny Side Up!
07. Love Is The Way 15.
짐살라빔 (Zimzalabim)
08. 카풀 (Carpool) 16. La Rouge (Special Track)

今回のアルバムは先にも述べたように「The ReVe Festival シリーズ」の最終章になる訳ですが、「Day1」ではどんなMVなのかという考察を放棄して「感じたまま楽しめば良いじゃん」といういい加減な感想で終え、「Day2」も「Red Flavorとかのオマージュが沢山で楽しいイェーイ」みたいなアホ丸出しな記事だった訳です。
しかし、「Psycho」を観て思いました。

あの時の自分をぶん殴ってやりたい。

「カムバを楽しみましょう、ウンパッパ」とか言ってる場合ではなかったのです。
なぜ「シリーズ」という事を踏まえてもっとちゃんと考えなかったんだ。なぜもっとしっかり観なかったんだ。
意識を集中していれば「Zimzalabim」に出てきたコーヒーカップで「おや?」と思ったはずなのです。少なくとも「Umpah Umpah」の雨で気づくべきだったのです。それらが何を言わんとしているのかという事を。

このシリーズが何を語ろうとしているのかという考察へ移る前に、一つのMVをご覧ください。

これは2016年3月17日にリリースされた2ndミニアルバム「The Velvet」のタイトル曲「7월 7일 (One Of These Nights)」です。
SM側はこの曲&MVに関して「七夕の伝説である織姫と彦星に着想を得たものだ」と説明していますが、ReVeluv(ファンダム)界隈ではある事故を題材にした追悼曲だという説が広く知られています。

セウォル号沈没事故…
2014年4月16日、韓民の大型旅客船「セウォル(世越)号」が全羅南道珍島郡の観梅島沖海上で転覆・沈没した事故であり、乗員・乗客の死者299人、行方不明者5人、捜索作業員の死者8人を出した韓国史上最悪の海難事故。

事細かに説明しているとそれだけで終わってしまうので省きますが、「7월 7일 (One Of These Nights)」では「私たち、また会いましょう」と歌われる歌詞に加え、MVには事故を想起させるようなシーンが随所に散りばめられています。

さて、ここからが考察です。その中に、梯子を上がるジョイを捉えたカメラが引いていくとコーヒーカップの画になるというシーンがあります。

ジョイは「7월 7일 (One Of These Nights)」で「私たち、また会いましょう」と歌っている事、そして梯子を上がり水から逃れている事などから、MV中で唯一生き残ったメンバーだと言われています。
「Zimzalabim」では、冒頭に遊園地を訪れるメンバーが描かれていますが、園内へと入るエレベーターで迎え入れるのはジョイです。

その後、メンバーの乗ったジェットコースターがコーヒーカップへ入っていくシーンがありますが、これは「7월 7일 (One Of These Nights)=セウォル号沈没事故」を振り返る為の入り口ではないかと思われます。
終盤には死者を思わせるような体のない靴だけが無数に歩いていて、ラストカットは梯子を上がる途中のウェンディで終わっています。

続けて「Day2」の「Umpah Umpah」です。このMVの冒頭にはどこかへ向かう途中の5人が車に乗っているシーンから始まります。

車のサイズに似合わず大量の荷物が屋根に載っており、後々宿泊場所に着いたシーンで確認出来ますが、荷物は細いロープで簡易的に固定されただけの状態です。
セウォル号が沈没した一つの要因として、最大積載量の3倍とも言われている過積載が挙げられている事に加え、積んでいたコンテナも固定装置を使用せずにロープで縛っただけだった事も、船体がバランスを崩した一因になったようです。
セウォル号には済州島に修学旅行へ向かう多くの高校生が乗船していましたが、冒頭に描かれているメンバーが旅行へ出掛けようとするシーンは、その暗示ではないでしょうか。
そもそもタイトルである「Umpah Umpah」は水泳の息継ぎを意味している事からも後の事故を連想させ、宿泊場所へ着くと雨が降り出して部屋に居ざるを得なくなる状況も、船内に閉じ込められる事を意味しているのだと考えられます。

その他のシーンを挙げてみると、室内でメンバーが天気予報を観るシーンがあります。ここで予報士を演じているのはジョイです。

注目したいのは、雷マークの位置です。右上にも同様のものが見えますが、ハッキリ映っているのはここだけです。場所は韓国を模したものだと思いますが、なぜこの位置なのでしょうか。

出港場所である仁川港、或いはセウォル号が沈没した地点とおおよそ一致します。
その後、予報を伝えていたジョイが地震にあったようにフラつくシーンがあります。雨が酷くなり、映りが悪くなった事でウェンディがテレビを叩くと中のジョイも揺れる描写もありますが、先にフラつくのはジョイです。これが何を表しているのかはもう説明するまでもないでしょう。

その後、私がMV中最も不思議だと思っていたシーンが登場します。

当時は「変なシーンだな」という印象しかありませんでしたが、海難事故という性質と関連づければ、これがヘリコプターでの救助を待ち望む表れなのだという事がわかります。
もう一つ。なぜテレビの映りが悪くなったというだけの理由で、スルギは雨風の強い外へ出て行き、足場の悪い屋根を伝い、アンテナを直す必要があったのか。

これは外部との連絡を繋ぐものであり、同時に、救難活動も示唆しているのではないかと思います。

MVの終盤は、灯台の灯りがともる夜のシーンですが、セウォル号が仁川港を出港したのは21時頃でした。

MVのラストカットは、光が差し、雨が上がったにも関わらず部屋から出ずに扉を閉めるシーンで終わっています。セウォル号の船体が傾き始め、消防に最初の通報がされたのは午前9時頃。船首底部を除き沈没したのはそこから約1時間後の午前10時17分頃と言われています。

「Zimzalabim」「Umpah Umpah」という二つのMVが、「Psycho」でどのような物語に帰着するのか。ここからが「Psycho」の考察です。

「7월 7일 (One Of These Nights)」のオープニングはドレッシングルームのシーンで始まりますが、「Psycho」にも同様のシーンが幾度となく登場します。

更に「7월 7일 (One Of These Nights)」と「Psycho」で共通しているのは、鏡のシーンです。

鏡は古代から神秘的な力を持つものだと信じられており、それは時にパラレルワールドや真実を映すものとして多くの物語に登場してきましたが、「Psycho」における鏡は、イェリやスルギ、アイリーンが鏡越しに画面をみている事から、彼女たちの内面世界であると考えられ、これはセウォル号の事故により心に傷を負い、過去に閉じ込められ逃れられない遺族や関係者を表しているのだと思います。

つまり「Psycho」の物語は、そういった人々が抱えた痛みを癒す為の物語であり、その役目を担っているのが「7월 7일 (One Of These Nights)」で生存したジョイなのです。

傷の癒えていない人々を表すものとして、天井が取り払われ、眩い光が差していながらも閉鎖的な部屋の中で繰り返し跳ねているイェリや、まるで墓に手向けられたような花束と、骸骨などがコラージュされた場所で座っているウェンディなどのシーンからわかります。

そんな彼女たちに、ジョイは時に自ら手を取って階段を上がり、時に「ここにいてはいけない」と耳打ちをし、トラウマの中で過去と会話する糸電話の糸を切るのです。

その中で最も印象的なシーンがあります。
それはアイリーンの映った鏡が落ちると同時に蝶へと変わり、その蝶は更に無数の蝶となって飛んでいくというシーンです。

蝶は魂や再生、復活の象徴であり、仏教ではあの世とこの世を行き交うもので、輪廻転生や新しい自分になる事を意味し、キリスト教でも復活を意味します。

この蝶となる鏡は、蝶が飛び去った後にアイリーンが向ける視線の先にジョイがいる事から、彼女が「鏡を落とす=再生のきっかけを与えた」のだとわかります。

そういったジョイの行動により前を向き、進もうとする意思を取り戻した姿を表しているのは、鏡越しではなく、自ら視線を向けるスルギのシーンで示されています。

しかし、全ての人がジョイによって救われる訳ではありません。
現実の世界には、光を求めてもがきながらも、苦しみから抜けられない人がいます。それはイェリが自らを閉じ込めている場所から石を投げてガラスを割るシーンで示されています。石に付いた手紙のようなものは、救いを求めるメッセージではないかと思います。

それでもイェリはその場所を離れる事が出来ずに、また部屋の扉を閉めてしまうのです。

最後はそれまでとは打って変わり、生き生きとした5人を映したシーンで物語は幕を閉じますが、吊り下げられた純白のドレスは「生(せい)」を象徴し、生きることへの希望を表しているのだと考えられます。

セウォル号の事故は多くの人々に深い悲しみと傷を残し、未だにその時から時間が止まったままだという人も少なくないでしょう。一方で、事故から5年以上が経過し、関係者以外である“世間一般の人々”には過去の出来事になりつつあるようにも感じます。
この事故は、韓国史上最大の海難事故だっただけでなく、船舶事業の不正や長らく続く政治腐敗、更には韓国社会が抱える問題にまで発展しました。しかし、その時からどれほどの事が改善されたのでしょうか。
あらゆる問題を孕んだ出来事を過去のものにしない為、また、事故の犠牲者と未だその時の傷を抱える人たちにとって、あの事故を我々が“忘れずに考え続ける事”が弔いと癒しとなるというメッセージが込められているのだと思います。

そしてここからは多少強引な推測も含まれますが、「The ReVe Festival シリーズ」についてもう少し考えてみましょう。

まずは「Finale」の構成です。これは「Day1」と「Day2」に4曲の新作を加えた全16曲入りで、先の2枚の曲順が逆に収録されているという事はすでに述べました。改めてもう一度ご覧いただきたいのですが、“16曲”が“4つのパート”に分かれています。

01. Psycho 09. 음파음파 (Umpah Umpah)
02. In & Out 10. LP
03. Remember Forever 11. 안녕, 여름 (Parade)
04. 눈 맞추고, 손 맞대고 (Eyes Locked, Hands Locked) 12. 친구가 아냐 (Bing Bing)
05. Ladies Night 13. Milkshake
06. Jumpin’ 14. Sunny Side Up!
07. Love Is The Way 15.
짐살라빔 (Zimzalabim)
08. 카풀 (Carpool) 16. La Rouge (Special Track)

セウォル号の事故が起きたのは“4月16日”。曲順は、現在から過去へと遡り、また現在に戻ってくるという構成になっています。

しかし、このアルバムが希望を見出せるようにという再生への願いが込められたものだとするならば、「Zimzalabim」と「Umpah Umpah」はなぜあんなにも陽気で、弾けたような曲調だったのでしょうか。

メキシコには「死者の日」という祭りがあります。これは日本における花火が鎮魂という意味合いを持つのと同様に、死者を弔う祭りです。この「死者の日」にはパレードを行いますが、明るく楽しく振る舞う事で、あちらの世界にいる人々が寂しくないようにという想いが込められており、それは同時に今を生きる人々の希望にもなるのです。
それを踏まえると、なぜこのシリーズを「Festival」としたのか、なぜ「Zimzalabim」と「Umpah Umpah」があのような曲調だったのか納得できます。

最終章のタイトル曲である「Psycho」は恋人同士が共依存関係にある様子を歌っていますが、「psycho=精神病質者、気の狂った、錯乱した」の語源は古代ギリシア語の「psykhe」(プシューケー)。「psykhe」はギリシア神話に登場する人間の娘の名前で、彼女の美しさは美の女神・ウェヌス(アプロディーテー/ヴィーナスとも)の嫉妬を買い、数々の試練を与えられてしまうのですが、そのウェヌスの像はMV中にも登場します。

いくつもの困難を乗り越えたプシューケーは、最終的にウェヌスの息子・クピードーと結婚し、「喜び」「悦楽」という意味を持つウォルプタースという名の子を生みます。そういった物語のある「psykhe」が本来意味するのは「魂・精神・蝶」です。

過去と現在、生と死を魂で繋ぐ3部作というパレード。それが今回のシリーズだったのではないかと思います。

そして曲の終盤にはこう繰り返されるのです。

It’s alright
大丈夫

It’s alright
大丈夫だよ
Hey now we’ll be ok
いまは大丈夫

Hey now we’ll be ok
いまは大丈夫

Hey now we’ll be ok
いまは大丈夫

Hey now we’ll be ok
いまは大丈夫だよ

最後にもう一つだけ。

リリース前のティーザー画像にはこんな文言が書かれていました。

DON’T BE AFRAID OF THE DARK
暗闇を恐れないで

THE FIREWORKS
その花火は

WILL LIGHT UP THE SKY
空を照らすから

1人でも多くの人に、彼女たちの光が届くことを願います。

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