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【HYUKOH】変容する世界の中で紡がれる言葉【through love】

1月30日(木)、HYUKOHが1年8ヶ月ぶりにEP「사랑으로(through love )」をリリースしました。

【HYUKOH】ロッキン・ジャジー・サイケデリック・ブルーズ with ラブ【24 Tour】

当ブログでは2回目の登場となりますが、初登場だった2018年10月20日の記事では、彼らがどんなバンドなのか一切紹介せずに、ライブレポートのみを書いていたので、改めてプロフィールをどうぞ。

HYUKOH
(혁오/ヒョゴ)
DOOROODOOROO ARTIST COMPANY
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オ・ヒョク(오혁
1993年10月5日
176cm
リーダー/ボーカル/ギター
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イム・ヒョンジェ(임현제)
1993年7月31日
182cm
ギター
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イム・ドンゴン(임동건)
1993年4月4日
173cm
ベース
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イ・インウ(이인우)
1993年6月14日
173cm
ドラム
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全員が同じ1993年生まれのHYUKOHですが、パッと見で「ヒュ、ヒュコー?」と読めないそのバンド名は、ボーカルであるオ・ヒョクの英語表記「OH HYUK」を逆にしたものです。
バンドは2014年にそのオ・ヒョクを中心に結成され、弘大のライブハウスを中心に活動を開始。
2014年9月18日にリリースされたEP「20」(タイトル曲「위잉위잉(Wi Ing Wi Ing)」)でデビューをしますが、その頃から音楽好きの間では早くも話題になります。

彼らの名前が全国区となったのは、2018年3月31日までMBCで放送されていたバラエティ番組「無限挑戦」の「2015・無限挑戦歌謡祭」へ参加した事がきっかけでした。

この番組で人気に火がついたHYUKOHは、その年の「第7回MelOn Music Awards」で「Top 10 Artists」を受賞。
同年5月28日には2nd.EP「22」(タイトル曲「와리가리(Comes And Goes)」)をリリース。

その秋には渋谷O-nestで初ワンマンライブを開催し、チケットは即完売。

2016年の夏にはSUMMER SONICへ出演、「20」「22」のライセンスをTOY’S FACTORYが獲得し日本盤が発売された事で、ここ日本でもその人気は更に広がっていきます。

2017年4月24日には初のフルアルバム「23」(タイトル曲「가죽자켓(Leather Jacket)」「TOMBOY」)を、2018年5月31日には3rd.EP「24 : How to find true love and happiness」(タイトル曲「LOVE YA!」)をリリース。

そしてそこから1年8ヶ月という期間を経て、1月30日に待望の4th.EP「사랑으로(through love )」がリリースされたのです。

彼らは日本での知名度が上昇した時に「韓国のSuchmos」と言われていましたが、実際には「○○っぽい」という評し方はしづらく、ストレートなロックサウンドからパンクやファンク、ニューウェーブにポップと多様なジャンルを試みながらも、そのサウンドは常に「HYUKOH」であり、「どんなジャンルのバンド?」と聞かれればやはり「HYUKOHだ」という他ないのです。とはいえ、本人たちが公言している事もあり、あえて言うならば「ロックバンド」というのが正しいでしょう。

彼らの歌詞は主に英語で歌われ、中には「Wanli(万里)」のように全編が中国語で歌われたものもあります。

英語を使っているのは当初からグローバルな舞台を意識しての事だったようですが、そもそもボーカルのオ・ヒョクは5歳から大学進学前の18歳まで中国で過ごしており、ハングルよりも英語と中国語で歌詞を書くほうが楽だったという理由があるようです。

そのオ・ヒョクは中国から韓国へ戻って音楽活動をしようと思った時に、反対する両親を納得させるためにYG、SM、JYPと全てのオーディションに合格したという逸話がありますが、彼については記事1本書けてしまうほど色々とあるので、それはまた改めてという事にさせて頂きます。

話を戻しますと、HYUKOHはその特異な音楽的特徴だけではなく、アートとも密接な関係にあります。「20」「22」「23」「24」と、全てのアルバムアートワークはオ・ヒョクの大学の先輩であるノ・サンホ(nemonan)というデザイナーが手掛けており、これについては「ここから先のアートワークをぜんぶ繋げていけば、もしアルバムの中身がダメだったとしても、絵として残っていけるだろうという、なかば冗談で始まったアイデア」と言っていましたが、結果的にはこのアーティスティックなアートワークが彼らの表現するスタイルに一役買った事は間違いないでしょう。

20 22
23 24

そんなHYUKOHの最新EP「사랑으로(through love )」は、タイトルを見てわかるように、これまでのアルバムについていた数字ではなく「through love =愛を通じて」と変化しています。
「20」からのタイトルは、実際に作品が作られた時の彼らの年齢であり、オ・ヒョクが「その時々の状況や環境に影響されて歌詞を書くことが多い」という理由から、それぞれの年齢で感じた“瞬間瞬間の不可逆的な時間”をパッケージングした作品であると言え、それは多くの楽曲に込められた“愛について”考え、日々変化していく“世界”という風景を切り取ったものだったと考えられます。
しかし一方で、前作である「24」の副題「How to find true love and happiness=真実の愛と幸福を見つける方法」は、「恋愛」「結婚」「出産」「就職」「マイホーム」「人間関係」「夢」の7つを諦めざるを得なくなっている「七放世代」と言われる現在の韓国、そしてあらゆる国でますます格差の広がる世界へと目を向ければ、それはより困難になっているとも言えるのではないでしょうか。
だからこそ彼らは、これまで以上に直接的なメッセージとして「26」ではなく、「사랑으로(through love )」というタイトルを選択したのではないかと思います。
加えて、アートワークもノ・サンホ(nemonan)からヴォルフガング・ティルマンスというフォトグラファーの作品へと変わっています。

ティルマンスは「政治、経済、テクノロジー、アート、ジェンダーといった時代のあらゆる側面を、写真というメディアを通して一つの作品の中に結び付ける」フォトグラファーという事ですが、彼は「Neue Welt」という写真集のインタビューで「地球と、地球上のあらゆる生命(事象)の存在とは、天文学における、物質とエネルギーの運動における一状態であり、私たちは分裂と結合を繰り返しながら、ひとつの総体(集合)から別の総体(集合)へと変化している運動体(惑星)の一部である」(「ヴォルフガング・ティルマンス:今という天文学的な時を生きる」より)と語っています。

「사랑으로(through love )」は収録曲6曲全てがタイトル曲になっていますが、現在のような世界情勢だからこそ、彼らはより強く、より明確に「愛とはなにか」を提示しようとしたのではないでしょうか。

これまで彼らは自身のライブだけでなく、SUMEER SONICやFUJI ROCK 、コーチュラなど数多くのフェスへ出演し、まさしく世界中を駆け回ってきました。
今月からは8日のソウルを皮切りに計19ヶ国、42の都市を巡るバンド史上最大規模のワールドツアー「HYUKOH 2020 WORLD TOUR THROUGH THE LOVE」が開催予定で、日本でも福岡、名古屋、大阪、東京で来日を果たします。残念ながらドラムのインウが健康上の理由でツアーには不参加となっていますが、いまこの時だからこそ感じる事のできる彼らの姿をぜひ生で体感する事を強くお勧めします。

韓国同様に、かつては当たり前だった物事が当たり前ではなくなっていく現代の日本、そして変容していく世界において、我々が模索する「愛」や「幸せ」は、彼らが紡いでゆく“音”という言葉の中にあるのかもしれません。

「HYUKOH 2020 WORLD TOUR THROUGH THE LOVE in JAPAN」
2020年2月18日(火)
福岡・DRUM LOGOS
開場18:00/開演19:00
2020年2月19日(水)
大阪・なんばHATCH
開場18:00/開演19:00
2020年2月21日(金)
愛知・DIAMOND HALL
開場18:00/開演19:00
2020年2月23日(日)
新木場STUDIO COAST
開場17:00/開演18:00
2020年2月24日(月・祝)
新木場STUDIO COAST
開場17:00/開演18:00

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