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【映画】新感染 ファイナル・エクスプレス【レビュー】

連日のコロナ騒動の中、みなさんいかがお過ごしですか?

時短、テレワーク、自宅待機で休みなど様々な煽りを受けている人も多いでしょう。

いつもの日常とは違う。そんな空気がそこかしこで感じられます。

まぁそれならそれで、当ブログもいつもとは少し趣きを変えてみようではありませんか。

という訳で、今回は初となる映画レビューでも書いてみる事にします。

記念すべき1回目はこちら。

新感染 ファイナル・エクスプレス
原題:부산행 (プサンヘン/釜山行
監督:ヨン・サンホ
製作:イ・ドンハ/脚本・パク・ジュソク
撮影:イ・ヒョンドク/編集:ヤン・ジンモ 
公開:韓国・2016年7月20日/日本・2017年9月1日
上映時間:118分
製作国:韓国
制作費:115億ウォン
ワールドボックスオフィス:$129,228,466

本国公開は3年半以上も前の作品ですが、私は劇場で観た訳ではありません。というのも基本的に私は怖い映画が苦手です。まぁゾンビくらいなら平気っちゃ平気ですが、そもそも「新感染 ファイナル・エクスプレス」っていうタイトルが微妙だなと思っていたのです。ところがソフト化してからも「凄く面白い」という声を頻繁に耳にしていたので、「じゃあどんなものか観てやるか、あのアン・ソヒも出てるし」という感じで手を伸ばしてみたのです。

するとどうでしょう。

「新感染 ファイナル・エクスプレス」、ただのゾンビものにあらず。

なんとこの作品、“泣けるゾンビ映画”だったのです。

ここから先は感想をつらつらと書いていきますが、最重要ポイントは明かさないようにしていますので、未見の方も安心してお読み頂けると思います。また、観た方でも「あ、そこね!わかるわぁ」と思ってもらえるようには書いたつもりです。

ソウル発プサン行きの高速鉄道KTXの車内で突如起こった感染爆発。疾走する密室と化した列車の中で凶暴化する感染者たち。感染すなわち、死ー。そんな列車に偶然乗り合わせたのは、妻のもとへ向かう父と幼い娘、出産間近の妻とその夫、そして高校生の恋人同士・・・果たして彼らは安全な終着駅にたどり着くことができるのか―?目的地まではあと2時間、時速300km、絶体絶命のサバイバル。愛するものを守るため、決死の闘いが今はじまる。彼らの運命の行き先は・・・。

オフィシャルHPより

ソ・ソグ(演:コン・ユ)

証券会社に勤務しファンドマネージャーを務めている。高級マンションに住み、裕福な暮らしを送っている一方、仕事が最優先で娘の学芸会にも出席しないなど家庭をかえりみないことから妻とは別居中。ソグの母親と娘のスアンの3人で生活している。
会社の為に個人投資家の利益を度外視し、冷淡とも言える判断を躊躇なくする。釜山行きの列車内でパニックが起こった際にも、自分と娘の事以外には無関心で非協力的。
ソ・スアン(演:キム・スアン) ユン・サンファ(演:マン・ドンソク)
誕生日に子供の日と同じプレゼントをソグから送られた際、「何か欲しいものはあるか?」と聞かれ、「釜山にいるお母さんに会いたい」と言った事から、釜山行きのKTXに乗る事となる。
一見強面で粗野だが、愛妻家。屈強な見た目通り、襲ってくる感染者たちを素手で迎え撃ち、ソグ親子や生存者を何度も助ける活躍を見せる。
ユン・ソンギョン(演:チョン・ユミ) キム・ジニ(演:アン・ソヒ)
サンファの妻で、臨月を迎えている。身重の為にソグ達と共に感染者と闘うことはできないものの、合理的な対処で幾度となく危機を免れる。 野球部の応援団長として列車に同乗する。野球部員のヨングクに特別な感情を抱いており、他の部員がいる事も気にせず「私に好きと言われたら、自分の運命をありがたく受け入れなさいよ」と言うほど自分の気持ちを隠そうとしない。
ミン・ヨングク(演:チェ・ウシク) ヨンソク(演:キム・ウィソン)
シンヨン高校の野球部員。ジニの積極的過ぎる程の感情表現に照れを見せながらも、本人も気がある様子。パニックが始まってからは、野球部員らしくバットで応戦する。 高速バス会社の常務。自分が助かる為には他人の犠牲を厭わず、娘ほどの年齢であるジニや、乗務員たちに高圧的な態度で接する。

本作は韓国初のゾンビ大作映画ですが、近年見られるゾンビが「走る」という以外に特別な力はありません。けれども、「時速300kmで疾走する降りられない密室でゾンビ(感染者)が沢山」というだけで「もう無理!絶対死ぬ!」と八方塞がり感が半端ではありません。


基本的にはKTX内での攻防がメインとなっていますが、とある理由により途中で大田駅(テジョン)に停車し、そこからまたKTXに戻ったりと、展開が一辺倒にならないような工夫が、こういった作品には欠かせない“緊張と緩和”を作り出しています。
そんな中、ソグ達はどのようにして窮地を切り抜けていくのかというのが物語の推進力になってはいますが、ただのパニックアクションではなく、そこで描かれる人間模様が展開に大きく作用していくのです。
ゾンビ映画は古くから差別や偏見などをメタファーとして描き、いわばその時々にある社会的な問題を取り扱ってきたジャンルです。
本作と同じように感染者が大挙して押し寄せるゾンビものでありながらも酷評を受けた「ワールド・ウォー・Z」(私はこれはこれで結構好き)は、そういったメッセージ性を欠いた、単なる“パニックもの”として描いていたところが「あんなのゾンビ映画じゃねぇ」という批判を生んだのだと思います。


そういう意味で言えば、この「新感染」は、のっぴきならない状況下において、それぞれの人間にどのような心理が働き、どのような行動を取るのかという普遍的な人間の裏表をしっかり描く事で、ゾンビ映画のメッセージ性を保持しています。
そしてそれは、「逃れられない列車内=セウォル号事件」のオマージュとしても成立しており、近年韓国で起こった最大の惨劇までこのドラマに昇華している事も、単なるエンタメに留まっていない大きな理由の一つだと思います。
それを体現しているのがバス会社の常務・“クソ野郎”ヨンソクです。こいつは本当〜にひどい。まぁ悪役としては期待を裏切らない徹底っぷりなので、劇中で最も大成功のキャラ設定とも言えます。
主要キャラ以外でも、KTXの運転手、列車に紛れ込んだ1人のホームレス、そしておばあちゃん子だった私には他人事ではなかった老姉妹といったサブキャラたちの人間模様も、ドラマとしての幅を広げる役割をしっかりと果たしています。


劇中で見逃してはならないポイントとして、物語の冒頭13分間が挙げられます。これは後半で明かされるパニックの発端は何かという導入部分であり、また、ある人の歌う“歌”が後の主要キャラの命運を大きく決定づける鍵となっていますので、どうか冒頭13分だけは集中してご覧になって頂きたいと思います。
KTXが走り出してからは、その展開にドップリと身を委ねて下さい。チビりそうになるほど大挙して押し寄せる感染者との攻防は終始ドゥクンドゥクンが止まらず、仕事第一人間でオマケに鼻持ちならない奴だったソグが徐々に良き父親として、更には1人の人間として変化していく様子は、物語が進むほど感情を大きく揺さぶります。
が、やはりこの映画はこのコ無くして成り立ちません。

もう圧巻の演技です。彼女がいなければこの映画の魅力は半減していただろうな、というくらい素晴らしい。最終盤でのソグとのシーンは、思い出すだけで涙腺がウルウルしてきます。ある言葉を連呼するんですよ、彼女が。「○○○ッ!○○○ッ〜!」って。表情から感情表現まで文句なし。あんな演技見せられたらそりゃ涙が止まりませんよ。KPOP WATCHMEN AWARDの映画部門があれば、主演女優賞確定でした。
ちなみに賞と言えば、野球部員・ヨングクを演じたチェ・ウシクは、話題の「パラサイト 半地下の家族」で最重要キャラともいえる息子役として出演しています。

そんな訳で、「新感染 ファイナル・エクスプレス」はジェットコースター的展開で全く飽きさせないエンターテインメントとしても一級、心理描写、登場人物それぞれの関係までしっかりと描いた人間ドラマとしても一級、そしてそれらが見事に融合し、まさかの“ゾンビ映画なのに泣ける”というアクロバティックな展開になっている素晴らしい作品だと思います。
なお、作品の前日譚として同監督が手掛けたアニメーション映画「ソウル・ステーション/パンデミック」というものもあります。こちらは「新感染」へと完全に繋がる話という訳ではないものの、それを思わせるシーンや、やはりこちらでも極限状況下での人間ドラマと、韓国という国が抱える社会問題が描かれおり、良い意味でなかなか“ヒドい”内容です。

さて、3月にカムバ予定だったBLACKPINK、(G)I-DLEはその予定を延期した事が発表され、TWICE in 東京ドームやRed Velvet in 横浜アリーナだけでなく、多くの来日イベントが中止、或いは延期にもなっているという、オタクにとってはまさしくゾンビに血肉を食われるような非常に厳しい状況になっております。

WHO(世界保健機関)によると、現状ではまだ「パンデミック(世界中で流行する病気・感染症)ではない」と発表していますが、厚労省は「この1~2週間の動向が、国内で急速に感染が拡大するかどうかの瀬戸際」と仰っています。

という事で、備えあれば憂いなし。いざという時にパニックに陥らないよう、未見の方はもちろん、すでに観た方も改めて「新感染 ファイナル・エクスプレス」で心構えを養っておくというのはいかがでしょう。どうせ家にいる時間も増えたでしょうし。

では皆さま、コロナには十分に注意しながら、健全に、そして人に優しく過ごしましょう。

 

 

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