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【PSY】得体の知れないワールドスタンダード【싸다9】

2022年4月29日、10年前江南スタイルで世界的なムーブメントを起こし、世界中で最も知られた韓国人アーティストとなったPSYが5年ぶりの新曲として9thアルバム『サダ(싸다)9』をリリースしました。

PSY
(싸이 / サイ)
パク・チェサン(박재상)
1977年12月31日(44歳)
大韓民国 🇰🇷 ソウル特別市 江南区 出身
170.2cm/B型
バークレー音楽大学 (名誉卒業)
P NATION
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PSYのニューアルバム『サダ(싸다)9』は2017年5月に発売した8枚目のフルアルバム『PSY 8th 4X2=8』以来、5年振りとなる新作です。2018年5月に8年間所属していた事務所YGエンターテインメントと専属契約を終了し、新たに個人で立ち上げたP NATIONから初めてリリースとなったアルバムです。

PSYのこれまでのアルバムにはナンバリングを兼ねた数字が入っており、싸다(サダ)とは“安い”を意味しています。リーズナブルやお手頃といったニュアンスが含まれる言葉で「サイの多彩な9集」という意味が込められているそうです。発売日の4月29日も、韓国語で4は사(サ)、2は이(イ)で「サイ9集」を語呂合わせしたものと思われます。

『サダ(싸다)9』のタイトル曲はBTSのSUGAがラップとプロデュースを手がけた「That That」で、2019年に既に公開されておりZICOが作詞作曲、MVには元missAのスジが出演していることでも話題になった「Celeb」がダブルタイトル曲となっています。

アルバムには「9INTRO」をはじめ、Crushと共に手掛けたもう一つの先行公開曲「Happier」、強烈なEDMジャンルの楽曲で、PSY自ら作詞作曲に参加した「Everyday」ソン・シギョンとの2度目のコラボ曲「感動だよ(감동이야)」、2001年にリリースされたCRYING NUTのカバー曲で、Heizeと共に手がけた「夜が更けたね(밤이 깊었네)」、P NATIONが最初に契約したアーティストでもあるJessiとの共作「GANJI」GIRIBOYが作詞作曲を手掛けた「私の月曜日(나의 월요일)」、MAMAMOOファサとのコラボ曲「今は(이제는)」、EPIK HIGHのメンバーでYG時代から親交の深いプロデューサーTABLOとの共作「forEVER」、次作を期待させる自己肯定の自作曲「내일의 나에게(Dear Me)」の全12曲が収録されており、全てがタイトル曲のベストアルバムとも言える豪華さとなっています。

9INTRO
That That (prod. & feat. SUGA of BTS)
Celeb
감동이야 (You Move Me) (feat. SUNG SI KYUNG)
밤이 깊었네 (Sleepless) (feat. Heize)
GANJI (feat. Jessi)
이제는 (Now)’ feat. 화사 (Hwa Sa)
Happier (feat. Crush)
나의 월요일 (Hello Monday)
Everyday
forEVER (Feat. TABLO)
일의 나에게 (Dear Me)

アルバムは当初、音楽評論家などから“退屈な歌詞とメロディー”として酷評する声も多くありましたが、結果としてタイトル曲の「That That」は各種チャートの1位に長く君臨し続け、MVも3億再生を突破しました。

45億回という異次元のMV再生回数を叩き出してしまった「江南スタイル」と比べることで、“失敗”と断ずるのは容易ですが、そもそも45億という数字自体が狂っていることを決して忘れてはいけません。

その後にリリースした2015年の7thアルバム『Chiljip Psy-da (칠집싸이다)』のタイトル曲DADDY(feat. CL of 2NE1)6.4億回나팔바지(NAPAL BAJI)8300万回、2017年の8thアルバム『4X2=8』のタイトル曲I LUV IT1.2億回New Face2.7億回という数字から見ても復調していると言えます。

10年前の「江南スタイル」をヒットさせた当時は世界の市場にK-POPというものは存在していませんでした。BIGBANGを経て、BTSやBLACKPINKが登場した現代のK-POPとはアイドルということも含めて大きく異なります。PSYの存在は韓国・K-POPという前置きには存在しておらず、世界中のインパクトとしては謎の音楽で突如現れた東洋人という、全くベクトルの異なるものでした。

K-POPを代表するアイドルとしてであれば45億回という数字にはならなかったでしょうし、PSYの存在がBTSやBLACKPINKが認知されることを大きく後押ししたとも考えられません。“何か得体の知れないもの”と出会ったことこそが空前の世界的なブームを生み出したのではないかと私は考えています。

得体は知れてしまい、アイドルに象徴されるK-POPシーンが明らかになるほど、PSYの存在は古びていきます。それはまさに一発屋と呼ばれるような人々が示してきた傾向でもあります。それでも誰もが羨むような一定の数字を叩き出せることは、PSYらしさを失わず“新鮮な得体の知れなさ”を提供し続けているという証でもあります。

手の内が明かされていても、PSYに対する期待感が今もなおあり続けるということが、彼の音楽を“本物”であると断ずることができる理由です。

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