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【CHEHON&BILL STAX】昨日、今日、明日【STILL HUNGRY】

自身の内にある何かを表現したいという者にとって最も大切なこととはなんだろうか。

まずそれは才能でもなく環境でもない。

才能はあるに越したことはないが必須ではない。才能を認めるのはあくまでも他者であり、それを判断するのは表現者から生まれた成果物でしかない。つまり本人に才能があろうがなかろうが、何かをやっている者に対し他者がどうこう言う権利はないのだ。
環境というものも最重要ではない。環境には日々の生活を営むために要する時間や金銭的な状況も付随する。何事にも、そして何者にも邪魔されることなく、自分のやりたいことだけに没頭出来る恵まれた環境を与えられている者などほんの一部でしかないからだ。

最も大切なことで真っ先に挙げられるのは、“その手段が好きなこと”である。

表現方法に音楽を選んでおきながら音楽が嫌いだという者はいないはずだ。“好きこそ物の上手なれ”という諺もあるように、これなくして進歩はない。

しかし果たして“好き”というだけで成り立つものなのかと言えばそうでもない。何かをしていれば必ず壁というものが立ちはだかる。その壁が現れる要因には外部的なものと内部的なもの両方があり得る。

この壁というものを乗り越える手段は一つしかない。

とにかく続けることだ。

今日挫けても明日、或いは少し時間が空いたとしてもまた続ければ新たな景色が見えてくる。

そして自身がその歩みを止めないために必要なこともある。それは現状に満足しないことだ。慢心は停滞を引き寄せ、やがて自らの情熱を失うことになるだろう。

継続とは飽くなき探究心があってこそ成されるのだ。


10月28日、韓国にルーツを持つ在日コリアンのレゲエDeeJay・CHEHONと、韓国のラッパー・BILL STAXがコラボレーション楽曲「STILL HUNGRY」をリリースした。

CHEHON
(チェホン)
イ・チェホン (李宰洪) / 米田洪二
1984年8月4日
出身:日本大阪府生野区鶴橋
国籍:大韓民国
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YouTube(RAGGA RAGGA BROTHERS)

「 THE FIRST TAKE 」で披露した代表曲「韻波句徒」が大きな話題となったCHEHONのレゲエDeeJay(レゲエシーンではヒップホップにおけるMCを指す)としてのキャリアは、高校生の頃に足蹴く通っていたクラブのレゲエイベントで行われていたラバダブ(即興で歌詞をつけて歌うマイクリレー)でマイクを握った17歳の時に始まる。

以降は大阪に限らずあらゆる場所でラバダブに参加しながら、「500枚は手渡した」という自身で製作したデモCDが関係者の目に留まり2006年に最初のミニアルバム「みどり」をリリースすることとなる。
2008年にはシングル「LIKKLE MORE ~めぐりeye~」でメジャーデビューも果たし、翌年2009年にはメジャー1stアルバム「RHYME LIFE」リリース。 2010年には3rdアルバム「Road to island」を引っさげ初のワンマンツアー「Road to island Tour -SAYONARA JAPAN-」を東名阪で開催する。

しかしツアー終了後の年末、本人曰く「あまりにも順調すぎて物足りなさを感じた」ことから「このままだと自分は腐る」と思い、人気絶頂の中全ての活動を中断し単身ジャマイカへと渡る。しかもその場所は日本人が一人もいないどころか、現地のタクシー運転手すら行くのを拒否するようなスラム街で、先に現地へ行っていた盟友・NATURAL WEAPONと共に廃屋同然だった家を自分達の手で修復し、そこを拠点としながら自らのプロデュースで数多くのイベントも開催する。多くのトラブルもあったようだが全て覚悟の上での経験とし、約1年の間レゲエの本場でその空気を存分に吸収する。
2012年の2月に帰国してから僅か2ヶ月後となる4月にリリースしたシングル「Yellow Badman」はレゲエ配信サイトのチャートで軒並み1位を獲得するなど、1年以上の空白期間がありながらも依然として衰えない人気を証明してみせた。

さらなる成長を遂げたレゲエDeeJayとして以降も自身の楽曲だけでなく、他アーティストの楽曲にも積極的に参加しながら再び順調な活動を続けていったCHEHONだが、2019年にはなんと「フリースタイルダンジョンSeason5・REC7:BATTLE OF REGGAE DEEJAY」に参加する。
CHEHONは元々ラバダブでその実力を磨いてきただけでなく、即興で歌詞を綴るバトルが初めてという訳でもない。ヒップホップにMCバトルがあるのならば、レゲエにもまたDeeJayクラッシュと呼ばれるバトルが存在する。
DeeJayクラッシュとMCバトルの基本形式は似ている。しかしDeeJayクラッシュの大きな特徴は自身の持ち歌をベースにして即興を交えながら
生バンド演奏をバックにバトルを行う。そしてこのバトルも勿論勝ち負けを決める訳だが、DeeJayクラッシュの醍醐味は勝敗よりもむしろバトルに至るまでのプロセスを経たパフォーマンスでいかに観客を盛り上げたか、更にはそのステージについて観客同士が意見を取り交わすところまでを楽しむという総合エンターテインメントと言えるところにある。
そんなDeeJayクラッシュと似て非なるMCバトルに初挑戦したCHEHONだったが、いきなり3rd ROUNDまで勝ち抜くという適応能力の高さを見せつけるのだ。
以降もCHEHONは現在まで様々なMCバトルに参加し続け、今やヒップホップシーンからも一目置かれる存在となっている。

これまでリリースしてきたアルバムとシングル(配信含む)は20枚を超え、他アーティストとの共演も30曲以上に上る。彼を“日本を代表するレゲエDeeJay”と紹介することに異を唱える者はいないであろう経歴の持ち主だ。
代表曲には先に挙げた「みどり」や「韻波句徒」の他にもジョン・レジェンドやドレイクといった数多くのビッグアーティストのプロデュースを手掛け、グラミー賞受賞歴もあるプロデューサー“Di Genius”ことスティーブン・マクレガーとタッグを組んだ「CHALLENGER」、総合格闘家・平本蓮の入場曲「 CHAMPION ROAD 」などが挙げられる。

一方のBILL STAXは韓国ヒップホップシーンの黎明期とも言える2000年からそのキャリアをスタートさせている。

BILL STAX
(빌스택스 / ビルスタックス)
シン・ドンヒョル (신동열)
1980年12月18日
大韓民国ソウル特別市麻浦区
所属事務所:MILLION MARKET (ATM Seoul)
所属クルー:TNF (Thur’sday is New Friday)
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キャリア初期はShadowという名義だったが、後にバスコ・ダ・ガマから取ったVascoとして長年に渡り名を広めた。2016年から現在のBILL STAXへと変更している。
PJ Peepzという5人組のヒップホップクルーのメンバーとしてクラブ・Masterplanで活動を開始し、その後はレーベル化されたMasterplanと契約するもPJ Peepzが事実上の解体となりソロへと転向する。
2004年にリリースされたソロデビューアルバム「The Genesis」や2007年リリースの2ndアルバム「덤벼라 세상아」で着実に人気を獲得しながら、EXIDのLEも所属していた伝説的なクルー・Jiggy Fellazの主軸メンバーとして2011年の脱退まで若手育成にも力を注いだ。
2008年にBuda Soundへと移籍し、同時に自身のレーベル・Independent Recordsを設立するも2013年には事実上のレーベル解体となってしまう。
2014年、Just Musicへ加入。同年にはヒップホップサバイバル番組・SHOW ME THE MONEYシーズン3に参加しBEST4という結果を残している。今でこそ名実共に高いヒップホップアーティストが同番組に名を連ねる事も少なくないが、当時すでにキャリア14年という大ベテランがサバイバル番組に参加した事は大きな話題となった。

2015年6月にはSecret Societyというクラブをソウルの麻浦区にオープンさせ、2018年6月にJust Musicとの契約終了後は新たな自身のレーベル・ATM Seoulを設立。後にATM SeoulがMILLION MARKETへの傘下となった為、現在の所属はMILLION MARKETとなっている。
2021年2月に開催されたKOREAN HIPHOP AWARDSでは2020年にリリースされた7thアルバム「DETOX」が「今年のヒップホップアルバム」を授賞するなど、これまでのキャリア22年間でシングルやアルバム、OSTや参加楽曲まで含めると実に60以上の作品を残している。


そのCHEHONとBILL STAXが「STILL HUNGRY」で出会うこととなったのだ。

「STILL HUNGRY」は「まだ食べ足りない」と使うこともあるが、ここでは「まだ飢えている」と捉えるのが正しいだろう。

共に約20年というキャリアを持つ2人には共通点が見て取れる。それが“決して現状に満足しないこと”だ。

BILL STAXは2つのレーベル設立や異例の参加となったSHOW ME THE MONEYへの挑戦、クラブ経営者としての顔も持っていることはすでに紹介させて頂いた。
また彼はラッパーとして、時代に合わせラップスタイルを変化させているという大きな特徴もある。
一方のCHEHONもジャマイカへの武者修行やレゲエDeeJayでありながらスタイルの異なるMCバトルへの挑戦も続けている訳だが、彼は前記した「フリースタイルダンジョンSeason5・REC7:BATTLE OF REGGAE DEEJAY」の3rd ROUNDで呂布カルマに勝利した後こんな言葉を残して次戦へのチャレンジを辞退している。

今日は勘弁してください。

この真意について彼は「これで(またバトルに)出んかったらめちゃめちゃダサないですか?」と語っている。つまり自らに再びMCバトルに挑戦する理由を課したのだ。
それだけではない。2020年に開催された「真 ADRENALINE」準決勝第2試合でCHEHONは再び呂布カルマとあいまみえる。この時のバトルでは呂布カルマがフリースタイルダンジョンでの雪辱を果たすのだが、勝敗決定後に彼はこう言っている。

呂布カルマつえー。やっぱダメだ。

この言葉にはもちろん呂布カルマへのリスペクトもあったのだと思うが、自分がまだまだだという事を言い聞かせるようにあえて口にしたようにも感じる。己の足りないところを認められることもまた強さだ。
CHEHONがMCバトルに挑戦し続ける理由として「“出る事に得なことなんてないんじゃないか?”“負けたら損するだけじゃないか?”と言われることもあるが、そういうのを全部ひっくり返したい。負けるのが嫌だとか失うものがあるからやらないというのが自分の中にはない。アウェイだからこそ意味がある。そこで勝てばきっとみんな手のひらを返す。だから楽しくてしょうがない。それはジャマイカへ行った時と同じ」と語っている。

CHEHONは以前、1stアルバム『「チェホンのファーストアルバム」という名のアルバム。』のインタビューで「ダイレクトで等身大なリリックについては、やはり自身の経験に基くものなのか?」という質問に「経験に基づくことが多いですね。全く経験してないことは言葉にできへんっていうか、書かれへんですから」と答えているが「STILL HUNGRY」にはこんな歌詞がある。

Still Hungry Still Hungry
Still Hungry Still Hungry
ゆっくり行くことを恐れず進み
停止することを1番恐れろ

どう生きるかを選ぶ試練
もしかしたら明日死ぬかもしれん
避けられない痛みなら楽しめ
簡単ちゃうけど
항상처음처럼
(いつも初めてのように)

この他にも「STILL HUNGRY」にはCHEHONだからこそ重みのある歌詞が綴られている。

私は冒頭に“自身の内にある何かを表現したいという者にとって最も大切なこととはなにか”という問いを投げかけた。そしてその答えとして“とにかく続けること”と“現状に満足しないこと”だと書いた。
しかし実のところこれは表現者に対してだけではない。

日々は困難の連続だ。挫けそうになることも多いだろう。
しかし“生き続けること”で新たな扉が開く。
現状に満足しないということは変化を恐れないことでもある。停止することを恐れ、いつも初めてのように、常に「STILL HUNGRY=まだ飢えている」ことが自身の歩みを先へ先へと進めてくれる。

昨日の自分が今日を作り、「STILL HUNGRY」であることが明日を作る。

変わり続けることで開かれる明るい未来。それをこの「STILL HUNGRY」は語っているように思う。

最後になるが、今回幸いな事に「STILL HUNGRY」の配信レーベルであるSTARBASE様のご好意によりCHEHONに紙面インタビューを行う事が出来た。このインタビューをもって締めの言葉に代えさせて頂くが、どの答えからもレゲエDeeJay・CHEHONというアーティストの飾らない姿が感じ取れるだろう。

BILL STAXさんとの共演はどのような経緯で決まったのでしょうか?
STARBASEさんのオファーにより
ご自身のルーツである韓国人アーティストとの共演はいかがだったでしょうか?
面白い企画やしもっとやりたい。
日本でお生まれになり、韓国というルーツも持ったバックボーンがレゲエDeeJayとしての創作に影響を与えたり反映される事はありますか?
あんまりないです。
すでに日本で確固たる地位を確立しながら活動を中断してまで単身ジャマイカに渡っただけでなく、レゲエDeeJayでありながらヒップホップのMCバトルにも数多く参加されていますが、新たな場所で挑戦するという原動力となっているものはなんでしょうか?
異常なほどの好奇心、挑戦欲、ギャンブル魂、多動症、自分磨きの為
韓国の音楽や映画、ドラマなどはご覧になったりしますか?
NETFLIX
韓国ではヒップホップサバイバル番組・SHOW ME THE MONEYの影響もあってヒップホップシーンが大いに盛り上がっています。 日本で数多くのMCバトルに参加されているCHEHONさんですが、そのSHOW ME THE MONEYに興味はおありですか?
オファー待ってます!
今後ジャンルを問わず韓国のアーティストやプロデューサーで共演してみたい方はいますか?
ラッパーかレゲエマン
音源制作を含め、さまざまな活動をする上で心がけている事はありますか?
自然体 カッコつけすぎない
これまで重ねてきたご自身のキャリアの中で変わった事、また変わらない事はありますか?
変わった事
見た目、人柄、経済、周りの環境性格、思想、女、酒量、声、等々変わらない事はない
これから挑戦したい事や野望というようなものはありますか?
AIを脳に搭載したい。

 

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